2018 Fiscal Year Research-status Report
Establish the test of summarizing Manga by collective intelligence and development of the summarizing software of Manga with using the assessment criteria.
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17K01142
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Research Institution | Tokyo University of Social Welfare |
Principal Investigator |
竹内 俊彦 東京福祉大学, 教育学部, 准教授 (20327290)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 由樹 相模女子大学, 学芸学部, 准教授 (70406734)
加藤 尚吾 東京女子大学, 現代教養学部, 准教授 (80406735)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 集合知 / 要約 / マンガ / 実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
筆者らの過去の実験結果から「nコマのストーリー・マンガをkコマに要約するときは、上位kコマを、他の多数の人が選んだ選択率の高い順に選ぶほど要約能力が高い」という指標が有効であるとわかっているため、マンガ要約能力を100点満点で測定することもできる。そこで本年度は、要約に残したいコマだけをクリックすると要約能力を点数化して示す、Web上で動作するマンガ要約テストを完成させ、日本マンガ学会で発表した。 また教育テスト研究センター年報で「マンガのセリフを英語にすると,要約時に過大・過小評価されるコマの特徴」というタイトルで発表した。これは2017年に日本語で、2018年に同じマンガの英語版を、5コマ以上20コマ以下に要約させる実験をほぼ同一条件で行ったことの比較である。マンガを英語で読み要約するのは日本人の大学生には困難であると思われるが、英語版の時も、選択率の高いコマだけを抜き出すと,おおむね良い要約になった。つまりマンガの要約に集合知は、英語で読ませたときでさえ機能したが、要約の質は少し落ちた。そこで本研究では、英語版で過小視,過大視されたコマを考察した。主人公が大きく描かれているコマや依頼者が説明中に回想しているレストランが描かれたコマが過大評価されていた。また過小評価されやすいのは,依頼人が主人公に,なぜ昔食べたハンバーガーを探しているのか、それを探すのがなぜ難しいのか、そのハンバーガーを探し当てたらどうして欲しいのかなど、絵柄は地味でも重要な依頼を長い英文で説明しているコマだった。 秋には採点結果を表示するサイトのユーザビリティを検証する実験を行った。その結果「目が疲れない」「画面が正しく表示される」「文章の要約より、マンガの要約のほうが楽しい」「文章の要約より、マンガの要約のほうが簡単だ」と回答していたことがわかった。この結果は2019年に国際学会で発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね計画通りに進んでいる。 申請時の予定では、平成30年度までに(1)要約能力測定テストの、Web上で動作するシステムを完成させること、(2)(1)のシステムを用いて実験すること、(3)遺伝的アルゴリズムを用いたマンガ要約システムを開発しα版をつくること、を予定していた。現時点で、いずれも完了しており、(1)(2)の成果については学会発表や教育テスト研究センター年報への速報という形で投稿も行っている。(3)についても発表済みである。 (1)については、すでに完成しておりバグもなく動作しているので順調である。(2)については、システムのユーザビリティ検証のための実験を行ったが、おおむね良好な結果であり、ユーザからの不満な点も改善したので、良好な進行具合である。ただし、学会誌への執筆と投稿がまだなので、完璧ではないと考えている。(3)についてはα版は完成させ、システムの動作としては良好である。ただし、マンガを遺伝的アルゴリズムを用いて得られた要約については、人間に比べるとはるかに劣っているため、β版作成時に改善の余地があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は主に遺伝的アルゴリズムによる要約システムに関する開発と実験を行う。「本日のバーガー」第2話以外のマンガを用いて、第2話と同じ基準による要約で良好な要約が得られるかを検証する。また実験と論文投稿を予定している。 2018年度の秋に行った実験の詳しい結果分析と学会発表は、2019年度6月下旬に、国際学会Ed-Mediaで学会発表をする予定である。また秋実験の結果、やや画質を落としても素早く表示されることをユーザが望むことが分かったので、すでに対応済みである。 また2019年度も秋に大学生60名程度に参加いただいて実験を行う。2019年度はマンガの要約と文章の要約能力に相関があるか、といった点に興味があり、検証するための実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
2018年度の秋に行った実験で、実験参加者60名を募集し実験したが、教育テスト研究センターからのご厚意で実験参加者への謝金を本研究費から支出しなくて済んだため。また海外での学会発表は2回を予定していたが、すこし予定を早めて昨年度末の3月に行ったため、本年度は海外での発表はしなかったこと、本年度は開発用のノートパソコンを買う必要がなかったことなどで支出が当初の予定よりも少なく済んだ。2019年度は、6月下旬にオランダ・アムステルダムでの学会発表が決まっており、その渡航費・宿泊代・大会参加費が、合わせて30万円ほど必要となる。またプログラム開発用のノートパソコンを購入予定である。
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