2017 Fiscal Year Research-status Report
高校生の「コア」の力を育む大学・地域と連携したキャリア教育に関する研究
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17K01150
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Research Institution | The SANNO Institute of manegement |
Principal Investigator |
荒木 淳子 産業能率大学, 情報マネジメント学部, 准教授 (50447455)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 朝美 愛知淑徳大学, 人間情報学部, 准教授 (70568724)
高橋 薫 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授(任期付) (70597195)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 地域連携 / 高大接続 / キャリア教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高校生を対象に社会・職業へと円滑に移行するための力(コアの力)と市民性の獲得を目的とし、高校生と大学生が協働で地域の課題解決に取り組むプログラムを開発し、実践と評価を行うものである。 平成29年度は主に先行研究の調査と実践の協力先の調査を行った。先行研究では、高等学校における地域と連携したキャリア教育事例に関する調査や、高校生の発達に関する先行研究を調査した。今日、ほぼ全ての高等学校でキャリア教育が行われているが、その多くは総合的学習などの時間に行われており、教員の負担も重い。そこで本研究では教科に沿った形でのキャリア教育プログラムの開発を目指したい。 実践協力先には岡山県を拠点に活動しているNPO法人だっぴと協働を行うことになった。だっぴは地域の大人と高校生・中学生が対話を行うワークショップを年複数回開催しており、地元の大学生もファシリテーターとして参加している。地域との連携や大学生が高校生とともに活動を行っている点が本研究と近いと考え、研究協力を依頼した。具体的には実践を開発する際のアドバイスと、協力校の紹介を依頼する予定である。 今年度はNPO法人だっぴがこれまで行ってきた地域連携ワークショップ(半日程度)の事前事後アンケート(平成29年度分)について、実践の効果と課題を分析するために統計的分析を行った。分析の結果、地域の大人との対話は中学生、高校生の大人とのコミュニケーションを取ろうという意欲を高め、自分の将来の進路についても前向きに取り組もうとする意識を高めていた。とりわけ、実践を通じて地域への愛着が高まった高校生はそうでない高校生よりも優位にこれらの意識が高まっていた。このことから、地域との連携により高校生が地域への愛着を持つことは、高校生自身のキャリア意識を高める効果があると考えられる。分析結果はショートレターとして日本教育工学会に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初研究協力先として念頭に置いていた一般社団法人との協働が先方の事情で難しくなっため、急きょ新たな研究協力先を探していたため研究計画よりも研究が遅れた。しかし、新たな研究協力先であるNPO法人だっぴは、すでに本研究の参考になる実践を行ってきた実績があり、地域の中学・高等学校との協力関係も築けていることから、今年度でこれまでの研究の遅れは取り戻せると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はNPO法人だっぴの実践の分析を踏まえ、9月までに本研究の実践の方針と計画を立案する。実践の概要は、9月に行われる日本教育工学会においてポスター発表し、専門家や関係者からのコメントを得たいと考えている。その後学会でのコメントを活かし実践の改善を行い、11月~12月に予備実践を行う予定である。予備実践の協力先高校はNPO法人だっぴの協力を得て、岡山県内の高等学校を探す予定である。 実践の計画と並行して今年度は、高等学校でキャリア教育を担当する教員にインタビュー調査を行い、高等学校でのキャリア教育の課題や教員が抱える問題を明らかにしたい。インタビュー調査結果はテキストマイニング等の分析を行いたい。また、地域連携プログラムに参加した高校生にもインタビュー調査を行い、地域との連携が高校生のキャリア意識にどのような影響を与えるか探索的な分析を行う予定である。 今年度実施する予備実践の効果検証を行った上で、来年度に本実践を行い効果検証を行いたい。本実践の計画と効果検証結果は、来年のキャリア教育に関する国際学会で発表することを考えている。
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Causes of Carryover |
平成29年度は新たな研究協力先を探していたため、計画よりも研究が遅れた。このため、昨年度計画していた高等学校教員との研究会を開催することができず、そのための予算が未使用となった。今年度は、新たな研究協力先であるNPO法人だっぴがすでに地域と連携したキャリア教育や高等学校におけるキャリア教育の知見を有しているため、改めて研究会を実施しなくてもよいと考える。そこで今年度は、昨年度研究会開催に充てるはずであった予算を、NPO法人だっぴとの共同研究のための費用や旅費等に充て、11月~12月に一度予備実践を行う予定である。
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