2018 Fiscal Year Research-status Report
高校生の「コア」の力を育む大学・地域と連携したキャリア教育に関する研究
Project/Area Number |
17K01150
|
Research Institution | The SANNO Institute of manegement |
Principal Investigator |
荒木 淳子 産業能率大学, 情報マネジメント学部, 教授 (50447455)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 朝美 愛知淑徳大学, 人間情報学部, 准教授 (70568724)
高橋 薫 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授(任期付) (70597195)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | ラーニングブリッジング / 地域連携 / キャリア教育 / 深い学び / 探究的な学び / 他者との関わり |
Outline of Annual Research Achievements |
地域と連携したキャリア教育に取り組む高校として、岡山県立林野高等学校、岡山県立津山東高等学校の協力を得て、授業見学および生徒たちへの事後アンケートとインタビューを行った。 林野高等学校では、総合的な学習の時間が導入された時期から、生徒たちが地域の方々と協力して地域課題について調べるMDP(マイドリームプロジェクト)を実施してきた。MDPは自然環境や歴史など、それぞれのテーマに分かれ、1年生から3年生までが学年の壁を越えて一緒に活動に取り組む点も特徴である。 2018年度はMDPを経験した林野高等学校2年生約200名に、MDP発表会後にGoogleフォームを用いたウェブアンケートを実施した。アンケートでは、「ラーニングブリッジング(学習の架橋)」という概念に注目し、MDPでの活動が普通教科の授業や学びとどのように結びついているかを中心に尋ねた。また、アンケートではインタビューへの協力の有無についても尋ね、インタビューへの協力が得られた生徒の中から、自由記述の記述量も多かった8名を選び、30分~1時間の半構造化インタビューを実施した。 アンケート調査の結果、生徒のラーニングブリッジングには、生徒同士の関わりや教員や地域の大人との関わりが影響していることが明らかとなった。事後インタビューでは、生徒同士の関わりでは、先輩や同学年、後輩たちと一緒に活動する中で、互いに意見を出して助け合ったり、やり方を学びあったりしていることがしていることが示唆された。また、MDPを経験した生徒たちは、自ら問いを立て探究的に学ぶことを通じて、学習することの楽しさや深さを感じており、それらが教室での普通教科の授業においても、学び姿勢を変化させる契機となっていた。 これらの結果は、2019年度中に論文化し発表する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度は2つの高等学校の協力を得て、実践の見学やアンケート調査、インタビュー調査を実施することができたため。特に事後インタビューでは、地域と連携したキャリア教育プログラムに参加していた生徒たちは、ポスター発表やレポート等には表れていない活動のプロセスにおいて、学習観の変容や深い学びを経験していることが明らかとなった。地域と連携したキャリア教育などPBL型の学習では、ともすれば活動の成果(ポスター発表やレポート等)が注目されがちであるが、学習のプロセスを丁寧にデザインすることで、生徒たちの深い学びを引き出すことが可能になるとの示唆を得ることができた。 2019年度はこれらの調査結果を論文化するとともに、地域と連携したキャリア教育において、教員が生徒たちの深い学びを引き出すための関わり方や質問の仕方などについて、授業研究を中心に行う予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、2018年度の調査を踏まえ、地域と連携したキャリア教育において生徒の深い学びを引き出すための教員の関わり方や質問の仕方について授業研究を行う。 具体的には、アクティブラーニング型授業の導入が進む都内、神奈川県内の高等学校の授業を記録し、生徒同士の対話を引き出すための教員のファシリテーションや質問の仕方について発話分析を行う。その上で、生徒たちの多様な意見や深い学びを引き出す教員にはどのような授業のファシリテーションや質問の特徴があるかを明らかにし、今後、地域と連携したキャリア教育のような探究型の学習を行う上での教員の関わり方、質問の仕方についてまとめる予定である。 授業研究の結果は、9月の日本教育工学会全国大会(於:名古屋)で発表後、論文化する予定である。
|
Causes of Carryover |
2018年度に投稿した論文(日本教育工学会ショートレター)が返戻となり、再投稿したため論文の抜き刷り代が次年度に持ち越されたため。
|
Research Products
(1 results)