2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of Team Formation Method to Enhance TBL Effects Based on the Learner Characteristics in pairing for Computer Literacy Education
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17K01157
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Research Institution | Nagoya University of Arts and Sciences |
Principal Investigator |
内田 君子 名古屋学芸大学, メディア造形学部, 准教授 (50241196)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | TBL / 情報リテラシー / 学習意欲 / 座席位置 |
Outline of Annual Research Achievements |
学士課程教育において能動的学修(アクティブラーニング)への転換が求められる中、グループ形式の授業が増加し、情報教育における効果についても数多く報告されている。しかし、グループ形式の授業はメンバーに依存した効果があるため、どのようなグループ編成にするかが重要な課題となっている。そこで本研究は、グループ形式の授業手法の一つであるTBL(Team-Based Learning)を情報リテラシーに関する講義に導入し、TBL時のパフォーマンスを高めるためのチーム(TBLではグループをチームと呼ぶ)編成手法を開発することを目的とする。 平成30年度までに、1) TBL時のパフォーマンスにチームメンバーの学習意欲が影響する、2)学習意欲の積極的・促進的側面を示すPositive得点(以下GP)が高い者ほどTBL時のパフォーマンスが高い、3) 4人構成チームではGPの高いメンバーが2~3人の場合にTBL時のパフォーマンスが高い、という知見を得た。 平成31年度は、知見3)に基づきGPが高いメンバー2人を含む4人構成チームによるTBLを提案するとともに、GPが高いメンバーの座席位置がTBL時のパフォーマンスへ与える影響を実験授業により検討した。実験授業におけるチームはGPが平均値以上の者(以下H)2名、平均値未満の者(以下L)2名の4人構成で、TBL時のパフォーマンスを定量的に評価するためのリソースとして事前学習時間、テスト解答時間、発話数、TBL満足度、TBL認識度を調査した。 実験授業により得られたデータを分析した結果、Hの座席位置によってTBL時のパフォーマンスは異なり、LHHLはパフォーマンスが有意に低く、HHLLは高いことが示された。すなわち、提案の4人構成チームによるTBLがうまく機能するためには学習意欲が高いメンバーの座席位置が重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度までの研究で得られた知見に基づき、平成31年度は学習意欲が高いメンバー2人を必ず含む4人構成チームによるTBLを提案するとともに、学習意欲が高いメンバーの座席位置がTBL時のパフォーマンスに与える影響を検討した。TBL時のパフォーマンスを5指標((1)事前学習時間、(2)テスト解答時間、(3)TBL時の発話数、(4)TBLに対する満足度、(5)TBLに対する認識度)により評価した結果、学習意欲が高いメンバーの座席位置によってTBL時のパフォーマンスは異なることが明らかとなった。すなわち、提案の4人構成チームによるTBLがうまく機能するためには学習意欲が高いメンバーの座席位置が重要となることが示唆された。 以上の結果を今年度研究目標に照らし、現在までの進捗状況について評価する。まず今年度研究目標は、5指標を用いたTBL時のパフォーマンス評価手法の有用性を確認すること(目標1)と、TBLに有効な学習意欲情報を用いたチーム構成の在り方を導き出すこと(目標2)であった。目標1については、昨年度同様に5指標を用いてTBL時のパフォーマンスを捉え、定量的評価が可能であることを示すことができた。目標2については、学習意欲が高いメンバー2人を必ず含む4人構成チームによるTBLを提案し、学習意欲が高いメンバーの座席位置を工夫することでTBL時のパフォーマンスを高めることができる可能性を示すことができた。したがって、今年度の研究目標1、目標2を概ね達成できたと判断することができ、本研究は順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度実験データの分析結果から得られた知見に基づき、学習意欲同レベル者を隣接配置するHHLLの4人チーム構成手法によるTBLを提案し、その効果検証を行う。具体的には、提案手法によるチーム(実験群)と乱数によるチーム(対照群)でTBL形式の実験授業を行い、学習効果を評価するための5指標を用いて実験群と対照群間のパフォーマンスを比較し、提案手法の有効性を評価する。 ただし、新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、実験授業の延期、あるいは規模縮小を迫られる可能性がある。この場合の対応策として、実験授業実施時期の変更(対応策1)と先行実験結果の利用(対応策2)を準備する。対応策1は、6月(前期授業期間)に実施計画の実験授業を、11月(後期授業期間)に変更して実施する。対応策2は、先行実験で得られた既存データを再分析し、提案手法の有効性評価に利用する計画である。
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Causes of Carryover |
端数として541円の残額が生じた。未使用額541円は次年度消耗品購入時に使用する。
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