2020 Fiscal Year Research-status Report
伝統的産業の情報発信と商品開発を支援する双方向型デジタルサイネージの開発
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17K01165
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
佐藤 慈 九州産業大学, 芸術学部, 教授 (90412460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 幹太 九州産業大学, 芸術学部, 教授 (70159276)
佐藤 佳代 九州産業大学, 芸術学部, 准教授 (70454907)
井上 友子 九州産業大学, 芸術学部, 教授 (90330787)
進藤 環 九州産業大学, 芸術学部, 准教授 (10755838)
星野 浩司 九州産業大学, 芸術学部, 教授 (60552205)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | デジタルサイネージ / プロジェクト型教育 / 伝統的産業 / 地域活性化 / デザイン評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナウイルス感染拡大防止の観点から、前年度までのように多くの産学官連携教育プロジェクトを実施することはできなかったが、博多曲物については、感染防止対策を講じながら、博多伝統職の会および福岡市と連携して、デザイン支援を目的としたプロジェクトを実施することができた。プロジェクトに参加した学生によっておにぎり用曲物、食パン用曲物などユニークなデザインの曲物が提案され、試作品が「九産大プロデュース展」(福岡市、イムズ、2021年2月18日~28日)において展示された。展示された試作品は、福岡のテレビ番組で取り上げられるなど多くの反響を得た。その他の伝統的産業(博多人形、博多織、大川家具など)については、過去に実施されたプロジェクトの成果をパネルにまとめ、「九産大プロデュース展」において公開した。 双方向型デジタルサイネージの開発に関しては、博多人形商工業協同組合および福岡市と連携してリデザインされた博多人形「ハカタオフク」の展示イベント(福岡市、六本松蔦屋書店、2020年8月29日)に合わせて、プロモーションとデザイン評価を目的としたタッチパネル型デジタルサイネージを設置した。また、これまでに学生と共同で開発したデジタルサイネージを紹介するためのデジタルサイネージを制作し、上記「九産大プロデュース展」の会場に設置した。このデジタルサイネージのために、測距センサーを活用した音声による集客コンテンツを開発するとともに、モニター前のユーザーの位置を記録することにより、コンテンツの集客効果を測定した。 前年度に開発された久留米織チュニックデザイン嗜好調査のための双方向型デジタルサイネージについては、コンテンツの概要と得られたデータを分析した結果をまとめ、第67回日本デザイン学会春季研究発表大会において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナウイルスの影響で2020年度の活動は制限されてしまったが、2017年度~2019年度は当初の計画どおりに産学連携教育プログラムが実施され、地域の伝統的産業(博多人形、博多織、大川家具、久留米絣、久留米織など)のデザイン支援および商品開発を目的としたプロジェクト活動が行われた。活動の成果は、各年度末に福岡市内の商業施設において展示会を開催して一般に公開した。 双方向型デジタルサイネージに関しては、各年度に一つの伝統的産業プロジェクトと連携して開発を行うことができた。2017年度は、大川家具プロジェクトと連携し、大川家具プロジェクションマッピング、FaceRigを活用したバーチャルキャラクター接客コンテンツ、商品紹介用タッチパネルを制作した。2018年度は、博多人形プロジェクトと連携し、深度センサーを活用した集客コンテンツ、タッチパネルによって人形デザインに関する情報を伝える情報提供コンテンツ、好きなデザインの人形に投票してもらうことによりデザイン嗜好性を調査する情報収集コンテンツを開発し、三つのコンテンツをシームレスに連携させたデジタルサイネージを制作した。また、AIによる属性推定機能を活用し、投票者の年齢と性別を投票結果と合わせて分析することにより、属性ごとのデザイン嗜好性について調査することができた。2019年度は、久留米織プロジェクトと連携し、久留米織チュニックの形、柄、色をタッチパネルで選択して好みのデザインをシミュレートできるコンテンツを開発した。デザイン要素を計画的に設定することにより、重回帰分析による分析が可能となり、属性ごとの嗜好性の違いを前年度よりも詳細に検討することができた。2020年度は、測距センサーを活用した音声による集客コンテンツを開発するとともに、ユーザーの位置情報からコンテンツの効果を測定する手法について検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、コロナウイルス感染拡大防止の観点から、ユーザーがタッチパネルに直接触れるようなコンテンツの設置を控える必要があったことから、非接触ユーザーインターフェースを活用したコンテンツの開発に向けて検討を行った。具体的には、測距センサーを活用した音声による集客コンテンツの開発である。公共の場に設置されたデジタルサイネージの多くが、通行人の注目を集めることができず、設計者の予想を大きく下回る使用率となっていることが多くの現場で課題となっており、これに対処することが開発の目的であった。公共空間におけるインタラクションの動機付けの方法の一つとして、何らかの刺激によって好奇心を刺激し、探索を促すことが有効であると考え、今回の集客コンテンツでは、測距センサーによってユーザーの位置を測定し、グリッドで区切られた各エリアを通過すると、割り当てられたチャイムが再生され、ユーザーの動きに合わせてメロディーが生成される仕組みを採用した。また、各エリアを通過した回数を測距センサーで記録することにより、チャイムの有無による人の動き方の違いについて検討を行えるようにした。2021年度は、得られたデータを分析し、開発した集客コンテンツの効果について検討を行い、その結果を学会で発表する。また、コロナウイルスの影響で展示会が開催できるかどうかは未定であるが、もし開催できる場合には、集客コンテンツの改良を行った上でデジタルサイネージを会場に設置し、その効果を検証する。 さらに、これまでの研究成果を総括し、伝統的産業の情報発信と商品開発の支援を目的とした双方向型デジタルサイネージに求められるコンテンツについて考察するとともに、デザイン教育および地域学習におけるデジタル技術の活用についても検討を行い、その結果を論文にまとめて公表する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止を目的として、タッチパネルを用いたデジタルサイネージの設置を控える必要があり、測距センサーを用いた非接触ユーザーインターフェースによる集客コンテンツの開発を開始したことに伴い、その効果の検証と、検証結果を学会で報告するための経費を確保するために、次年度使用額が生じた。また、コロナウイルスの影響で展示会が開催できるかどうかは未定であるが、もし開催できる場合には、改良を行った上で集客コンテンツの設置を予定しており、コンテンツ制作や展示に必要な消耗品費として経費を確保した。さらに、これまでの研究成果を論文にまとめて投稿するために、論文投稿料を併せて確保した。
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Research Products
(7 results)