2019 Fiscal Year Research-status Report
Responsible Research and Innovation: Japan-EU Comparative Study on Responsibility of Scientists
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17K01172
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤垣 裕子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (50222261)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 科学者の社会的責任 / RRI / ELSI / オープンサイエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度に出版した『科学者の社会的責任』(岩波書店)の内容をもとに、3名の物理学者にインタビューをおこなった。特に戦後すぐに湯川秀樹がラッセルにあてた手紙に関すること、1970年代に日本物理学会に発足した科学者の社会的責任シンポジウムについての情報を得た。化学者による毒ガス開発に焦点があてられるドイツの科学者の社会的責任論に対し、日本の責任論は原子核物理が中心になっていることが示唆された。 また、2019年10月にブリュッセルに出張し、RRI(責任ある研究とイノベーション)についてEU研究技術総局(RTD)での会合「Challenges for Responsible Innovation」に参加するとともにインタビューを行った。欧州におけるオープンサイエンスの現状を知るとともに、RRIを研究開発の現場に埋め込むための試みの最先端に触れることができた。またこの訪問を機に、各国のRRI分析を集積したセッションを4S国際会議(2020年)用に企画することができた。さらに帰国後、内閣府、文部科学省、JST他主催のムーンショット国際シンポジウム(2019年12月17-18日)で報告をおこなった。ブリュッセル出張で得た情報をもとにオープンサイエンスに関する共著論文を書き、科学技術社会論学会の学会誌に投稿した。 エジンバラ大学とのRRIの共同研究では、2019年9月4S国際会議(ニューオーリンズ)で打ち合わせを行い、東アジアSTSジャーナル誌の特集号にむけて論文を用意することで合意した。2020年3月にビデオ会議を行い、6つのサブテーマをつくり、それぞれのグループによる議論を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
岩波書店から出版した『科学者の社会的責任』をもとにした国内でのインタビュー、ブリュッセルのEU研究技術総局での会合参加およびインタビューが実現できた。後者はさらに次年度の国際会議での企画、日本開催の国際シンポジウムでの発表、新たな原著論文の基礎となった。エジンバラ大学との共同研究も次の国際共著論文の企画につながっている。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に企画した国際会議でのセッションを2020年度に行い、それをもとにした国際共著(単行本)を考えている。また、エジンバラ大学との国際共著論文の企画をすすめる予定である。
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Causes of Carryover |
ブリュッセル出張で企画したセッションを2020年度は、4S-EASST国際会議(2020年8月、プラハ)用であったため、その旅費の確保のために次年度にまわす額を増やした。
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Remarks |
Developing 'Alternative Practices' for Responsible Research and Innovation in the UK and Japan
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