2020 Fiscal Year Research-status Report
Responsible Research and Innovation: Japan-EU Comparative Study on Responsibility of Scientists
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17K01172
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤垣 裕子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (50222261)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 科学者の社会的責任 / RRI / ELSI / オープンサイエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年より英国エジンバラ大学との間でRRIの日欧比較の共同研究をはじめた。2019年3月にまず日本側がエジンバラを訪問し、RRIについてのそれぞれの研究蓄積を共有し、9月のニューオーリンズでの4Sで研究成果を東アジアSTSジャーナルの特集号としてまとめることで合意した。2020年3月にエジンバラチームが日本訪問の予定であったが、新型コロナウィルス感染症の蔓延のため来日がかなわず、以後オンライン会議とメールで議論を続けている。共同研究は6つのチーム(History, Space, Pubic-engagement, Identity, Case-studies, Pedagogy)に分かれて作業をしている。 申請者はこのHistoryのチームの世話役を務め、1930年代から2020年までの「科学者の社会的責任論の日米欧比較」の論文の準備をすすめている。まず私が戦後1945年から1979年までの日本の責任論のレビュー(湯川・朝永のパグウォッシュ会議での活動と平和運動から1970年代の環境問題の勃興まで)をエジンバラ組に送った。エジンバラ組はそれに触発されて1930年代のバナールとポランニの論争、戦後直後の「純粋科学」論(戦争から距離をとるための)、1960年後半の新左翼運動、1980年代英国ボドマーレポートによる科学コミュニケ―ションの奨励について書き込みを行った。2020年9月にオンラインで6つのチームはミーティングをおこない、チーム間で作業中の論文へのコメントをした。これらのコメントをもとに各グループは論文改訂作業をおこなっている。 また、申請者は日本におけるRRIの現状分析を2020年8月の4S/EASST国際会議(オンライン)で発表した。さらに、内閣府のムーンショットプログラムのうち、JSTに配分された4つの目標のELSI検討委員会に所属し、検討をすすめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルス感染症のため、予定されていた渡航(プラハでの国際科学技術社会論会議・欧州科学技術社会論の合同会議参加)ができず、オンラインでの開催に参加した。対面での議論はできなかったが、ZOOMの画面を通してさまざまなコメントを得ることができ、かつ多くの刺激を受けることができた。その意味で渡航はできずとも研究はおおむね順調に進展していると考えられる。また、エジンバラ大学との共同研究も、先方の日本訪問はかなわなかったが、メールおよびオンライン会議を用いて、共同執筆論文6本はそれなりの進展をみせている。
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Strategy for Future Research Activity |
エジンバラ大学のメンバとは、2021年11月の4S(国際科学技術社会論会議)でセッションを企画し、6本のチーム論文を発表の予定である。おそらくオンライン開催となるが、それでも知見を共有し、発信するためには効果的であると考えられる。
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Causes of Carryover |
2020年度にプラハで開催予定であった国際科学技術社会論学会と欧州科学技術社会論学会の合同国際会議に出席の予定で、海外渡航費を計上していた。しかし、新型コロナウィルス感染症の蔓延により、海外渡航ができずオンライン開催となったため、海外渡航費は不要となった。そのために次年度使用額が生じた。
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