2020 Fiscal Year Annual Research Report
Epistemology of World University Rankings: STS Approach to Measurement
Project/Area Number |
17K01173
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
調 麻佐志 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 教授 (00273061)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 大学ランキング / 研究評価 / 数値の独り歩き / SNS |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、前年度の予備的な分析および探索して決定した検索式を使用して、大学ランキングに関するSNSデータ(ツイート)の収集を実施し、分析を行った。 具体的には、まず2010年から2020年中途までのツイートを対象に、検索式を適用して、QSおよびTHEの世界大学ランキングに言及したツイート、および上海大学ランキング(ARWU)、ライデン大学ランキング(CWTSランキング)に言及したツイートを収集した。ただし、Twitter社の仕様変更により2020年の中途からデータ収集ができなくなったので、2019年までの10年分に分析対象は限ることにした。 これらデータを分析したところ、第一に、圧倒的に多いツイートは、発表されたランキングの紹介記事等(新聞などによる報道やランキング機関のウェブページ)の共有ボタンをおしてそのまま内容を垂れ流すものである。ついでそこに一言コメント的なものを加えたツイートが続き、その中では各国のトップクラス大学の消沈やおそらく話者の母校と考えられる大学の順位等へのコメントなどが観察される。 日本語ツイートに特徴的なのが、日本の大学の地位低下への言及とともに中国の台頭・躍進が描写されることである。その際に、ある種の不信が表明されることもあるが、不信の矛先はランキングシステムに向かうのではなく大学に向かうという意味で、数値がそのまま受け入れられるわけではないものの計量手法自体は疑われていないようである。 全体を通じてそもそも計量の手法にふれるツイートが量的な分析ではほとんど検知できないレベルしかなく、大学ランキングの順位や数値は実質ほぼそのまま受容されていると判断すべきであろう。
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