2017 Fiscal Year Research-status Report
江戸初中期における自然学の展開―「天学」概念の成立を中心に―
Project/Area Number |
17K01179
|
Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
平岡 隆二 熊本県立大学, 文学部, 准教授 (10637622)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 近世日本天文学 / イエズス会 / 小林謙貞 / 長崎聖堂 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は、1)国内外の図書館・博物館等での史料調査・撮影、2)英語論文1点・日本語論文1点の刊行、3)学会報告など:国際会議英語報告1回、シンポジウム企画・発表1回、4)『天経或問』研究会の組織と運営、5)関連史料の収集とデータ整理、がおもな活動だった。 1)については、日本・中国・フランス・スイスの図書館・博物館等計13施設において、関連する著作や器物の原本調査・撮影を実施した。その成果は、2018年度以降に随時学会報告・論文等の形で発表してゆく予定である。2)については、とくに長崎の天文学者・小林謙貞にまつわる伝記資料をまとめた論文「小林謙貞伝-長崎の史料を中心に」を完成させ、雑誌『長崎学(長崎市長崎学研究所紀要)』第2号から刊行した。本論文は、本研究のテーマに掲げた初期長崎派の事跡研究の一環として刊行したもので、「天学」成立の重要な背景の1つを解明したものと位置付けている。3)17世紀長崎への西洋天文地理学の伝播とその「自国化」にまつわる英語報告1回と、近世日中学術交流の重要拠点だった長崎聖堂にまつわる発表1回を行った。なお後者は、研究代表者が企画した洋学史学会ミニ・シンポジウム「近世長崎の人と学問-『長崎先民伝注解』によせて-」の一部として行った。4)本研究の最重要著作の1つ『天経或問』の会読と訳注稿の作成を進める「『天経或問』研究会」を組織し、本年度は計7回開催した。5)上記1)をはじめとする国内外での調査の機会を通じて、関連史料の撮影・収集を行い、そのデータ整理と分析を進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の実施を計画していた「1.在来知・外来知関連著作の原本調査」を、上述の研究実績の概要1)の調査・撮影により、おおむね順調に進めることができた。この調査は、2018年度も継続的に実施する予定であり、より網羅的な関連テキストの収集・撮影を目指す。また「2.学会発表(計1回)」についても、上述の概要3)の国際会議英語報告等を行うことができた。以上から、これまでのところ計画通りおおむね順調に進んでいると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
前掲の「1.在来知・外来知関連著作の原本調査」を継続的に実施するとともに、収集した史料の内容分析を本格化させ、それらの著作に見られるどのような要素が「天学」概念の形成に果たしたかについて検討を開始する。それらの分析・検討を通じて、2019年度以降に予定している、西川如見・正休父子の著作のテキスト分析に向けての課題を抽出・明確化する。
|
Research Products
(6 results)