2020 Fiscal Year Research-status Report
江戸初中期における自然学の展開―「天学」概念の成立を中心に―
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17K01179
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平岡 隆二 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (10637622)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 東アジア科学 / 天文学 / 西川如見 / 『天経或問』 / イエズス会 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、1)関連史料の収集と内容分析、2)出版物計2点:事典項目執筆1点、論考1点、3)論文・解説等の執筆、がおもな活動だった。 1)については、新型コロナウイルス感染流行のため、インターネットを中心に史料収集を行い、『スヘラの抜書』『天文教導倭歌註』など関連史料の内容と背景にまつわる分析を進めた。その成果は2021年度以降に雑誌論文・学会発表等の形で発表してゆく予定である。 2)については、日本思想史事典編集委員会編『日本思想史事典』の項目執筆「蘭学(洋学)」、および黎明期の東アジア科学史研究についての論考「今井いたるさんと『天官書』」の計2点を出版した。 3)については、これまでの史料調査と分析結果を反映した英語論文「Deciphering Aristotle with Chinese Medical Cosmology: Nanban Unkiron and the Reception of Jesuit Cosmology in Early Modern Japan」を完成させ、オランダのBrill社から刊行予定の論文集『Overlapping cosmologies in Asia』に寄稿した。また現在編纂が進められている日本科学史学会編『科学史事典』および洋学史学会編『洋学史研究事典』に、本科研と関連する項目計6点(「江戸時代の天文暦学」「沢野忠庵」「西学書」「坤輿万国全図」「長崎遊学」など)を執筆・寄稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は新型コロナウイルス感染流行のため、国内外の図書館等における実地調査はすべてキャンセルとなり、また研究補助アルバイトの雇用に支障をきたした。最終年度となる2021年度は、感染状況の推移を見据えながら、可能な限り史料の収集と分析を進め、期間内に最大限の成果が得られるよう研究を進めてゆく。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでと同様に、関連史料の幅広い調査・収集と、各著作の版種や系統、また内容の分析を進めてゆく。それらの作業を通じて、近世日本における「天学」を分析する上での課題をより明確なものとし、それが近世東アジア科学史上で果たした役割についての考察を深めてゆく。得られた成果は、学会報告や論文発表等を通じて国内外に広く発信してゆく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染流行のため、予定していた海外・国内出張がキャンセルとなり、研究補助アルバイト雇用にも支障をきたしたため、その残金を最終年度にまわすこととした。 (使用計画)2021年度の海外・国内出張経費、および人権費として支出する予定。
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Research Products
(2 results)