2019 Fiscal Year Research-status Report
Historical study on the introduction of quantum mechanics and development of condensed matter physics and chemistry in Japan
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17K01181
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
中根 美知代 成城大学, 法学部, 非常勤講師 (30212088)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 量子力学の移入と物理化学 / 片山正夫 / 小谷正雄 / ライプツィッヒ大学 / 東京帝国大学力学教室 / 杉浦義勝 / ハイトラー・ロンドンの理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
量子力学の移入を物性分野まで射程に入れて捉えるためには、量子化学よりも物理化学という視点のほうが適切という昨年度末の判断に基づき、片山正夫・玉蟲文一、仁田勇、水島三一郎、堀内寿郎らの回想的な記述を分析した。そして、化学者からみた量子力学の移入の状況をいくつか具体的に示した。化学者が量子力学を必要と考えるかどうかについては、当初、研究者個人や分野間で差があった。しかし、1927年のハイトラー・ロンドンの理論の発表により、化学のあらゆる分野において量子力学が必要となるとの認識が深まったこともわかった。 昨年作成したヨーロッパ各地に滞在した研究者の一覧表を充実させた。1928年前後に量子物理学の研究拠点が移動したことと連動して、日本人研究者の留学先が変化していくことを示した。特に、ハイゼンベルクとデバイが着任したライプツィッヒは、日本からの留学生の一つの重要な拠点となった。ライプツッヒ大学と理化学研究所は、1936年前後に交換留学制度を締結するが、その経緯についても明らかにした。 物理学と化学の境界にある領域として、1934年に作られた日本学術振興会の触媒研究委員会の活動を調査した。化学者の集団に物理学者としてただ一人参加した小谷正雄は、この研究を通じて分子積分表を作り上げたが、そのとき小谷は、杉浦義勝が1927年にハイトラー・ロンドンの理論を補完する積分計算を行ったこと、日本には、そのような計算を行なう基盤があると考えていたことがわかった。 小谷は一時期、山内恭彦、犬井鉄郎ともに、東京帝国大学工学部力学研究室に所属し、量子力学の研究を行っていた。1920年代から、東京帝大では、化学の学生が物理学科の授業も聞けるようになっていたが、数学と物理学や工学の学科間の交流の関係にも注目する必要があり、このことをとりあえずの課題としたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度末、科研課題の「物性分野」を、物理化学と捉えるべきだという見解がでてきてから、調査の方向が明確になってきた。資料の収集や分析の仕方にも、方向性がでてきた。散発的ではあるが、いくつかの新しい知見を得ることができ、まとまった形で成果が発表できる見通しもついてきたので、このような評価にした。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の方向を引き継ぎ、資料調査を行い、これまでの研究成果の精度を上げていく方向で進めていく。国内での調査が多くなっていくが、その結果を国際的な場で発表できるように整理していくことを目標とする。研究組織外にも、個人レベルで研究成果を伝達し、意見を交換しているが、このことが研究組織としてできるように計画していく。
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Causes of Carryover |
3月に学会出張および研究打ち合わせを2件予定していたが、新型コロナウィルス蔓延のため中止になり、その分の剰余金が生じた。次年度に、研究打ちわせ会や学会発表に代替する意見交換の場を計画する。
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Research Products
(6 results)