2017 Fiscal Year Research-status Report
幕末・明治初期における気象観測の実態および観測ネットワーク構築過程に関する研究
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17K01184
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
財部 香枝 中部大学, 国際関係学部, 教授 (00421256)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 気象学史 / 科学史 |
Outline of Annual Research Achievements |
「幕末・明治初期における気象観測の実態および観測ネットワーク構築過程に関する研究」は、科学史研究者と気象学者が意見交換しながら、国際気象学史委員会のネットワークを活用して国内外の研究者と交流し、日本の気象学史を再検討するとともに、日本の文脈における気象学史を国際的に発信することにより、地球規模の気象学史にも新たな知見をもたらすことを企図するものである。 初年度の平成29(2017)年度は、研究代表者・連携研究者が、国際会議での発表、気象学史研究会での発表などをとおして、研究成果を広く社会に還元しながら、下記のとおり実施した。 1.先行研究および既存入手資料の再検討を、幕末・明治初期の気象学史を中心に行った。日本の気象学者たちによりまとめられた主要文献『気象百年史』(気象庁1975)は、刊行から40年が経過しており、齟齬が断片的に指摘されてきた。まずはそれらについて検討を始めた。James Fleming, Historical Perspectives on Climate Change(Oxford University Press, 1998)の検討を始めた。また国際気象学史委員会の最新ジャーナルHistory of Meteorology(2018)の論文を検討した。 2.国際科学技術史学会(ブラジル、リオデジャネイロ)、気象学史研究会、および地学史研究会にて発表を行った。 3.研究の一部(スミソニアン気象観測法)が『北海道新聞』(2017年11月18日)で紹介された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国際学会にて発表を行うことができたが、海外調査を行うことはできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者・研究協力者が意見交換を行いつつ、下記のとおり実施する。 1.先行研究および既存入手資料の再検討を、スミソニアン気象観測者を中心に行う。スミソニアン協会50年史 The Smithsonian Institution, 1846-1896: The History of its First Half Century(1897)に収録された「気象学」には、50名弱の観測者および継続観測の年数が列記されている。これに加え、1873年スミソニアン年報所収“Classified Record of Monthly Meteorological Reports Preserved in the Smithsonian Institution”も利用して、ボランティア観測者の属性について整理・検討を加えるとともに、観測者たちの実際の活動を明らかにする。 2.海外調査を実施する。ワシントンDCのスミソニアン協会アーカイブスにてSmithsonian Institution Meteorological Project(Record Unit 60)の、またメリーランド州カレッジパークの国立公文書記録管理局にてRecords of the Weather Bureau (Record Group 27)の調査を行う。その際、同アーカイブスの研究協力者Pamela Henson博士と意見交換をしつつ、作業を進める。 3.「Asian Extremes: Climate, Meteorology and Disaster in History」国際会議(於シンガポール国立大学)にて「The Smithsonian Meteorological Project and Japan」を発表する。このほか、日本科学史学会東海支部例会にて発表を行うとともに、『東海の科学史』に投稿する。
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Research Products
(8 results)