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2019 Fiscal Year Research-status Report

「日本の魚類学の父」田中茂穂文書資料の分析による動物学黎明期の解読

Research Project

Project/Area Number 17K01190
Research InstitutionNational Museum of Nature and Science, Tokyo

Principal Investigator

川田 伸一郎  独立行政法人国立科学博物館, 動物研究部, 研究主幹 (30415608)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2021-03-31
Keywords科学史 / 動物学史 / 脊椎動物
Outline of Annual Research Achievements

2018年度までの調査では,主として書簡についての整理・データ抽出を行ってきた.本年度は,書簡以外の様々な資料が保管された箱について,整理を行い,合計1049点の資料を追加した.すべての資料は2018年度に行ったのと同じ方法でデータベース化が完了している.結果,本研究課題で整理した資料の数は,合計4910点となった.新規資料は段ボール箱に乱雑に詰め込まれた紙資料が主体だが,これらの中にも手紙やはがきといったものが223点見出されたため,書簡資料の合計は4084点となる.その他の資料の内多かったものは,新聞記事349点,論文別刷り・抜き刷り189点,魚類の絵(博物画など彩色図を含む)78点,といったものがあった.そのほか弁当の包み紙(44点)といったものまで含まれていたのが,田中茂穂の人物像を写すものとしては興味深い.
一方2018年度までに整理した書簡資料の判読調査も行った.一例として,書簡数が第二位だった萩市の博物教師・田中市郎が田中茂穂に送付した手紙について判読したところ,当初萩市沿岸で採集された魚類の同定などに関するものが多かったが,後年は田中茂穂の著作に対して否定的な意見を述べている部分などがあることが注目された.一地方の博物教師と東京大学の博士という学術的身分には隔たりがあるように思うが,分け隔てなく交流している様子が垣間見え,田中茂穂の人柄を印象付けている.田中市郎は現萩市博物館の元となる標本コレクションを収集した人物で,同博物館に出張し担当学芸員と情報交換を行った.田中市郎が所有していた魚類標本も多数残されており,手紙に記述されていたものと同一と思われる標本も見つかっている.本研究課題で整理した資料は今後同博物館の展示にも利用されることになりそうである.
書簡資料については,牧野富太郎など数名について判読が完了している.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

2018年度に報告した通り,本課題で扱う資料の数は予想していた点数より膨大なものであることが判明していた.そこで,全資料の内,書簡に限定して研究を行おうと進めてきたが,時系列で書簡を配列すると,年単位で資料が欠けていることが判明した.未整理の原稿や別刷りが収められた箱を調べたところ,その中にも書簡が散逸していることが分かったために,急遽すべての資料についてクリーニングからデータベース化迄行う必要性が生じ,さほど遅れを取り戻せない状況となった.
また,研究代表者の経常業務である哺乳類標本の作製・整理において,2018年度は非常に多くの大型個体が搬入されたことや,展示の準備などで十分な時間を確保できなかったことも理由としてあげられる.

Strategy for Future Research Activity

研究に遅れが生じている状況ではあるが,2019年度までの作業によって,ようやく資料の全貌が明らかとなり,円滑に調査を進められるようになっている.田中茂穂と特に交流が盛んだった人物について,更に書簡の判読を継続する.書簡以外の資料には,多数の新聞記事や弁当の包み紙といった,一見田中の研究歴とは関係ないものも散見されているが,これらは彼の魚類分類学研究以外の嗜好を表しているかもしれない.また多数の魚類図も発見されているが,多くは田中による日本魚類図説の挿図であることがわかっている.その他作者不明の図については書簡の内容と照らし合わせることによって判明する可能性が高い.書簡以外の資料にも注目しつつ,互いを紐づけていくことによって,資料価値を更に高めることができるだろう.
本課題は当初2019年を最終年度としていたが,上記の通り,研究の推進に後れを生じている.そのため,補助期間を1年間延長し,2020年度を最終年度として本研究課題の完了に向けて調査を継続していく.

Causes of Carryover

実施状況報告書に示した通り,今年度は予定外の資料数の増加があったため,十分な出張調査等を行うことができなかった.またその他の博物館形状業務のため,研究の推進に遅れを生じたため,補助期間を1年間延長し,次年度使用額を使用して調査を継続する.

  • Research Products

    (1 results)

All 2019

All Journal Article (1 results)

  • [Journal Article] 自然教育園の哺乳類(2018年)2019

    • Author(s)
      川田伸一郎・長岡浩子・濱尾章二
    • Journal Title

      自然教育園報告

      Volume: 51 Pages: 1 5

URL: 

Published: 2021-01-27  

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