2017 Fiscal Year Research-status Report
標本資料の三次元デジタルデータを活用した博物館活動への理解増進に関する研究
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17K01216
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
有田 寛之 独立行政法人国立科学博物館, 事業推進部, 専門員 (70342938)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 博物館情報学 / 科学リテラシー / 三次元デジタルデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の課題と目標を明確にするため、これまでの成果について学会発表を行ったほか、事例調査を行った。研究用に所蔵している標本や資料のデジタルデータ化に関して、大きな化石や小さな動物の骨など、コンピュータ上で拡大及び縮小して人の手で扱えるサイズにして3Dプリンタにて出力し、実際に触れる機会を提供することは、教育的な効果が高いと予測していたが、ICoME2017においてこれまで開発した学習プログラムに関する発表と参加者とのディスカッションにおいても、博物館における学習支援活動として、標本や資料の3Dデータをもとに3Dプリンタを活用してレプリカを作成したり触って比較したりする活動は、高い関心を集めた。また、博物館資料の3Dデータ化とその公開を進めている事例として、米国国立スミソニアン自然史博物館と九州国立博物館へ取材を行ったところ、研究活動においても同じプロセスを研究者が重視していることが明らかとなった。 また、3Dモデルを制作する技術に関しては、これまでコンピュータ上でのデータ処理に長大な時間がかかっていたが、コンピュータの処理能力の向上によりデータ処理の時間が短縮され、出力の時間短縮が難しい3Dプリンタ以外にもレーザーカッター等従来技術の活用の可能性が再び高まっていることも明らかになった。 博物館における学習プログラムの対象世代について、国立科学博物館で近年大幅に増加している来場者数の内訳を分析したところ、学齢期の来場者数よりも成人の来場者数の伸び率が高く、これら成人に継続的な博物館との関わりを促すため、博物館活動への理解をより深めてもらう学習機会を本研究で開発する必要性が高いと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、デジタル技術の急速な発展と、学術研究におけるオープン・データ化の必要性も考慮しながら、科学系博物館が資料の収集・保存や調査研究の過程で得た三次元デジタルデータを展示や学習プログラムで活用することにより、博物館が行う活動の社会的意義や重要性への人々の理解を促進する手法を開発することである。 博物館における3Dデジタルデータの活用について、米国国立スミソニアン自然史博物館や九州国立博物館への取材から、研究活動における3Dデータの出力や確認のプロセスと、博物館におけるレプリカ等を用いた参加体験型の学習機会との親和性が高いことが明らかとなったほか、学習機会を提供する対象の世代も明確となり、次年度以降の学習プログラム開発における方向性と課題が明確となった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は古生物及び人類を題材とした学習プログラムの開発を行う。化石や現生生物の骨格標本から得られたデジタルデータや、生体復元のコンピュータグラフィックスを題材に、これらを用いた研究活動の意義について考えるプログラムを、主に成人向けに開発し、国立科学博物館において試行する。 学習プログラム参加者の効果について、アンケート調査等により評価する。クイズ形式、検定といった、楽しみながら取り組める手法を導入し、結果の分析を行うほか、学習効果を上げるために難易度や目標などの設定を必要に応じ改良する。
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Causes of Carryover |
初年度に購入予定だった作業用コンピュータについて、今年度は購入を見送った。 翌年発売される後継モデルを購入する予定。
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Research Products
(1 results)