2018 Fiscal Year Research-status Report
博物館資料の潜在的価値の顕在化-海を渡った植物標本からの生物多様性情報の発掘-
Project/Area Number |
17K01218
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Research Institution | Kanagawa Prefectural Museum of Natural History |
Principal Investigator |
田中 徳久 神奈川県立生命の星・地球博物館, 企画情報部, 情報資料課長 (60270691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝山 輝男 神奈川県立生命の星・地球博物館, 企画情報部, 主任学芸員 (20214356)
木場 英久 桜美林大学, 自然科学系, 教授 (50221966)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 植物標本 / シーボルト / サガミメドハギ / オオバメドハギ / レッドデータ植物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、江戸~明治時代に外国人により採集された植物標本のうち、主に海外の標本庫に所蔵されているジェネラルコレクションを調査することにより、生物多様性の証拠という面から、博物館資料の潜在的な学術的価値を顕在化させることを目的としている。 2018年度は、『神奈川県植物誌2018』(神奈川県植物誌調査会編, 2018)の編纂作業と神奈川県のレッドデータ植物の選定作業の成果を受け、重点的に探索すべき植物を選定した。また、首都大学東京の牧野標本館に所蔵されているシーボルト標本を調査した。この標本情報はWEB上にも公表されているものであるが、一部ではあるがシーボルト標本の実態が理解できた。従来より知られていることであるが、シーボルトの標本のラベルには、詳細な採集地等の採集情報が記されていないが、一部(特にコレクションに含まれる他の採集者の標本)には、明記されている例が見出された。 また、2017年度の研究過程で、調査が必要であると確認された台湾大学(台北)の標本庫(TAI)においての標本調査を実施した。その結果、サガミメドハギLespedeza hisauchiiの原記載(Nemoto & Ohashi, 1999)で引用されている標本(Hayama, Sagami, 7 Oct. 1933 K.Hisauchi)は、もとはオオバメドハギL. davuricaとされていた標本がサガミメドハギと同定とされたものであることが再度確認された。神奈川県に現在分布するオオバメドハギは帰化したものとされ、古い記録の扱いについては検討が必要であったが、台湾大学、東京大学、国立科学博物館等に所蔵されている標本は、すべてサガミメドハギと同定されており、古い時代に採集されたオオバメドハギの標本は見出せていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の調査目的としていたシーボルト標本を所蔵する標本庫の改修工事が予定より、長期間に及んでいる。ただし、代替として、台湾大学の標本調査を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
前述のようにやや遅れているが、2019年度は、シーボルトの標本を所蔵しているライデンの標本庫の調査に替え、マキシモヴィッチの標本を所蔵するサンクトペテルブルグの標本の調査を優先することを計画している。
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Causes of Carryover |
ライデンの標本庫の標本調査が実施できていないことが大きな原因である。2019年度以降、サンクトペテルブルグの標本庫における調査を優先するなどの対応により、計画的な執行としたい。
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