2019 Fiscal Year Research-status Report
博物館資料の潜在的価値の顕在化-海を渡った植物標本からの生物多様性情報の発掘-
Project/Area Number |
17K01218
|
Research Institution | Kanagawa Prefectural Museum of Natural History |
Principal Investigator |
田中 徳久 神奈川県立生命の星・地球博物館, 学芸部, 学芸部長 (60270691)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝山 輝男 神奈川県立生命の星・地球博物館, 企画情報部, 主任学芸員 (20214356) [Withdrawn]
木場 英久 桜美林大学, リベラルアーツ学群, 教授 (50221966)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 植物標本 / マキシモヴィッチ / レッドデータ植物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、江戸~明治時代に外国人により採集された植物標本のうち、主に海外の標本庫に所蔵されているジェネラルコレクションを調査することにより、生物多様性の証拠という面から、博物館資料の潜在的な学術的価値を顕在化させることを目的としている。 2019年度は昨年度の台湾大学の標本庫に続き、ロシアのコマロフ植物研究所の標本調査を実施した。コマロフ植物研究所には、江戸時代末期に来日したマキシモヴィッチ(と助手の須川長之助)が採集した標本を所蔵しており、そのコレクションには、本研究課題の趣旨とはずれるが、マキシモヴィッチが記載した多くの基準標本を含む。 コマロフ植物研究所では、横浜や大山で採集されたムラサキLithospermum murasaki Siebold、横浜で採集されたムカゴニンジンSium ninsi L.、横須賀で採集されたヒメイズイPolygonatum humile Fisch. ex Maxim.(採集者はサヴァチェ)、横浜で採集されたヒルムシロ類(種は精査中)、大山で採集されたオオタマツリスゲ(採集者不明;東京大学所蔵標本のデュプリケイト)などの標本を見出した。 また、海外標本庫における標本調査の予備的な調査として、高知県立牧野植物園、長野県環境研究所などでの標本調査も実施した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上述のコマロフ植物研究所での標本調査自体は、順調であったが、その後のデータ、画像の整理が遅れている。集中的に作業を予定していた年度末に新型コロナウィルスの蔓延防止対策などに時間が割かれたこと、さらには、その状況の中で、作業人員を確保しにくかったことがある。
|
Strategy for Future Research Activity |
前述のコマロフ植物研究所で得られた標本のデータ、画像の整理を引き続き進める。なお、2020年度は、ライデンにおけるシーボルトが採集した標本を中心とした標本調査を計画していたが、これについては、現在、新型コロナウィルスの関連で延期せざるを得ない状況であり、今後の計画を立案しにくい。
|
Causes of Carryover |
年度末に、新型コロナウィルス感染症の蔓延防止のため、データ整理の人員を確保できず、人件費の執行が行えなかったことによる。
|