2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K01222
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
初澤 敏生 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (10211476)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / 熊本地震 / 令和元年台風第19号 / 産業復興 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度の研究テーマは、大きく災害被災地域の経済復興、防災教育の推進、令和元年台風第19号による被害状況の調査、に区分することができる。 災害被災地域の経済復興に関しては、震災後継続的に行っている福島県南相馬市の商工業実態調査を積み重ね、学会発表と論文作成を行った。また、東日本大震災後の福島県の宿泊業に関してデータを収集し、その動向を分析、学会発表を行った。この他、昨年度収集した熊本地震前後の熊本市および益城町の製造業に関するデータを基に、震災を契機とした売上や取引構造の変化に関して分析を行い、学会発表を行った。なお、北海道胆振東部地震に関しては、北海道の宿泊業を中心にデータを収集したが、その分析等は令和2年度に持ち越した。 経済復興以外では、東日本大震災時の二次避難所に関する調査を論文としてまとめ、災害時の二次避難所の意義や課題などについて明らかにした。 防災教育に関しては、主に社会科教育の分野を中心として学習指導要領の分析から戦後の学校教育における防災教育の特徴について論文にまとめたほか、他教科との合科的取扱の重要性に関しての提言を行った。また、トルコで開催された国際地理教育学会(International Congress of Geography Education 2019)に招待され、日本の地震教育の特徴に関して講演を行った。 昨年、各地に大きな被害を出した令和元年台風第19号に関しては主に福島県本宮市において緊急調査を行い、商業復興の動きが地域の微地形の相違による被害状況の違いに大きく左右されていることをとらえた。また、福島県須賀川市では地域FMが災害時に果たす役割に関して調査を行った。これらの成果は主に日本地理学会において報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東日本大震災および熊本地震に関してほぼ予定通り調査を行い、状況分析を進めている。北海道胆振東部地震に関してもデータ収集を行い、事前に構想した研究を進められる体制にある。このまま令和2年度に予定している調査を行うことができれば、研究構想を十分に達成できると考えている。 ただし、令和元年台風第19号に関しては申請者の地元が被災地になったこともあって十分な調査活動ができたとは言いがたい。これに関しては、今後の調査でカバーしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は本申請の4年目に当たり、集大成となる調査を進める予定である。 東日本大震災に関しては引き続き福島県浜通り地域を中心に実態調査を進め、製造業、建設業、サービス業を中心に研究のとりまとめを進める。熊本地震、北海道胆振東部地震についても収集したデータの分析を進め、取りまとめにかかる。合わせて、令和元年台風19号など、その他の災害の被災地域についても調査を進めたい。 また、産業復興に関してそのあるべき方向性に関しても研究を進める。特に地域資源を活用した地域振興や地場産品の附加価値向上を中心に様々な事例を調査し、それを災害被災地域の振興と結びつけられるように追求する。 ただし、新型コロナウイルスの流行によって、令和2年2月頃より調査活動に支障が発生している。このまま流行が長引けば令和2年度の調査活動にも影響せざるを得ない。その場合、今年度に予定している調査活動の一部を令和3年度に先送りせざるを得なくなるかも知れない。その場合は最終年度に予定していた研究のとりまとめの一部を今年度に前倒しして進め、最終年度に時間的余裕を作っておくようにしたい。
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Causes of Carryover |
令和2年2月以降新型コロナウィルスの流行により、予定していた調査の一部が実施できなくなった。また、研究成果を報告する予定だった学会の一部が開催中止となった。このため、予定していた支出の一部が執行不能となった。 実施できなかった調査については研究に必要なものであり、できるだけ早い時期に実施したい。残金については、このための経費として、令和2年度に使用する予定である。
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