2018 Fiscal Year Research-status Report
Assessment of the liquefaction vulnerability caused by the artificial land modification
Project/Area Number |
17K01224
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
青山 雅史 群馬大学, 教育学部, 准教授 (30724744)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 北海道胆振東部地震 / 東北地方太平洋沖地震 / 液状化 / 人為的地形改変 / 盛土造成地 / 砂利採掘 / 札幌市清田区 / 鬼怒川低地 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)2018年9月に発生した北海道胆振東部地震における札幌市清田区の丘陵造成地(美しが丘地区と清田六条、清田七条地区)の地盤被害の分布、それらによる被害状況について、現地踏査を行い明らかにした。その結果、清田区美しが丘地区では、複数の地点において噴砂(液状化)の発生が認められ、その周囲において戸建家屋の不同沈下、アスファルト路面の波打ちなどの液状化に起因するとみられる被害が発生していた。清田区清田六条、清田七条地区においては、宅地地盤や路面における亀裂・圧縮変形(損傷)、盛土の変形などが発生し、それに伴う家屋の傾斜も生じていた。この地区の噴砂の発生は限定的であった。また、それらの発生地点の土地条件、特に人為的地形改変との関係について、多時期の地理空間情報を用いたGIS解析、SfM(Structure from Motion)解析ソフトとGISを用いた本地区造成前の地形復元・解析などを行い、検討した。その結果、美しが丘地区における液状化は、宅地造成以前には谷地形が存在し、1990年代以降に造成された盛土地において集中的に発生したことが明らかとなり、盛土材料が液状化したことが考えられた。清田六条、清田七条地区では、1960年代以降の盛土地や切土と盛土の境界部(切盛境界)において地盤被害が集中しており、盛土の地すべり的変動が生じたものと思われる。 2)2011年東北地方太平洋沖地震における鬼怒川低地の液状化発生地点の土地条件について、多時期の地理空間情報を用いてGISにより解析を行った。その結果、既存研究では自然地盤における液状化発生とみなされていた地点のうち、1960年代以降の砂利採掘が行われ、採掘終了後に埋め戻され農地化された地点が多く存在していた。このことから、既存研究においては、自然地盤における液状化のしやすさを過大評価している可能性があることが指摘された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年北海道胆振東部地震における丘陵造成地における液状化発生地点の土地条件について、多時期の地理空間情報を用いたGIS解析、SfM解析などを行うことにより、その概要について把握することができた。これまでの研究では2011年東北地方太平洋沖地震や2016年熊本地震における低地の液状化事例を精査し、低地や台地における人為的土地改変が液状化脆弱性に与えた影響に関するデータを得てきたが、丘陵地における切土・盛土による造成地を対象とした地域での解析事例を加えたことにより、人為的土地改変による液状化脆弱性への影響をより多角的・広域的に検討することが可能となった。 東北地方太平洋沖地震における液状化発生地点の土地条件について、鬼怒川低地における事例を再検討し、精査した結果、既存研究では後背湿地や旧河道等の自然地盤における液状化とみなされてきた地点のなかには、1970年代以降の砂利採掘履歴を有する地点が多数含まれていることを明示できた。これらのことから、本研究課題である人為的土地改変による液状化脆弱性への影響を見積もる際のデータについて、おおむね順調に得てきたものとみなせる。
|
Strategy for Future Research Activity |
1)これまでに得えられた研究成果から、採掘跡地における液状化発生危険度は高く、既存の液状化危険度評価においてその影響が十分に組み込まれていないことが明らかとなっている。そのため、平野部の採掘跡地の抽出について、かつて砂利の採掘が盛んに行われていたことが知られているが、その詳細の分布データのない関東平野の多摩川および相模川などの河川流域を対象として、多時期の地理空間情報を用いたGIS解析、SfM解析、住民を対象とした聞き取り調査などから砂利採掘跡地等の人為的土地改変地の詳細な分布を明らかにする。また、国や自治体など各機関が保有するボーリングデータの精査から表層地盤データを得て、それらの人為的土地改変が液状化脆弱性に与えた影響を検討し、より精度の高い液状化危険度評価につなげていく予定である。 2)次年度が本研究の最終年度となる予定であるため、研究成果の取りまとめを進め、学会誌や商業誌への投稿を積極的に進め、地域社会に研究成果を還元し、諸地域の液状化危険度評価に関するデータを提供していくことにより、諸地域の液状化災害への防災・減災への取り組みに貢献していきたい。
|
Causes of Carryover |
2018年北海道胆振東部地震における札幌市清田区の地盤被害発生地点の土地条件に関する現地踏査について、学務との関係から一回(2-3泊)実行できなかったことや、購入を予定していた古地図や主題図に関するGISデータについて、残額との関係上購入しなかったものがあることなどによる。次年度において、それらの地図のGISデータを購入し、解析作業を実施していく予定である。
|