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2017 Fiscal Year Research-status Report

サンゴ骨格年輪による台風接近頻度の復元法の確立

Research Project

Project/Area Number 17K01227
Research InstitutionGifu University

Principal Investigator

森本 真紀  岐阜大学, 教育学部, 准教授 (30377999)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2020-03-31
Keywordsサンゴ骨格年輪 / 台風 / 降水量 / 塩分 / 同位体比
Outline of Annual Research Achievements

熱帯低気圧が発達した台風は気象現象の中でも最も激しい擾乱の一つであり、もたらす自然災害は人間の生活に大きな影響を与えることから、台風の発生数やその規模と経路は重要な情報である。本研究では、過去の気候を高時間分解能で復元可能な地質試料であるサンゴ骨格年輪を用いた台風記録の復元法の開発と検証を目的としている。研究対象地域は、1年あたりの台風接近が国内でも多くさらに接近時の勢力が強い沖縄県八重山諸島の石西礁湖である。
平成29年度は、現在における台風と海洋環境の関係の解析と、サンゴ骨格年輪試料の水温復元指標である金属比(Sr/Ca比, Mg/Ca比)測定を迅速に進めるためのICP発光分光計の分析条件の検討を進めた。台風によって変化する気象・海洋環境を調べるために、石垣島地方気象台の観測記録と環境省による石西礁湖モニタリング記録を用いて、気象現象と降水量、風速、海水温、塩分などの変化を解析した。その結果、同じ程度の降水量をもたらす台風と温帯低気圧を比較すると、どちらも海水温と塩分の低下が起こるが、台風の方がより長期間の影響を及ぼすことが示された。強風を伴う台風の方が表層海水の大きな混合をもたらすことが原因であると考えられる。台風などの多量の降水によって数時間スケールでは表層塩分の1, 2‰の大きな低下が起こるが、日平均データでは1‰以内、10日平均では0.5‰以内と変化程度が小さくなる。サンゴ骨格の同位体比を用いた塩分復元を行うには、時間分解能を上げ、0.5‰以内の変化を読み取ることが必要であることが示された。さらに、岐阜市内の観測から台風・低気圧・冬型の雨などの気象状況による同位体比の違いを調査した。サンゴ試料の分析準備として、金属比(Sr/Ca比)のICP発光分光分析時の最適標準試料の検討と、迅速に多数測定を行うための秤量過程の省略が可能か否かについて検討を繰り返し行った。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

現在における台風などの豪雨と海洋環境の関係の解析については、観測記録から気象状況と降水量、水温、塩分の関係を調べ、サンゴ骨格の同位体比と金属比の分析から水温と塩分の変化を読み取る際に必要な精度と時間分解能を明らかにすることができた。
サンゴ骨格の分析環境、すなわち試料採集後の切断、高時間分解能分析のための試料削り出し、酸素・炭素同位体分析と金属比(Sr/Ca比, Mg/Ca比)などの分析環境を整えることができ、さらに最適な標準試料の検討やより迅速に分析を進めるための条件変更を進めた。
初年度に石西礁湖において現地調査をおこない、気象記録との対比をおこなう現生のサンゴ骨格試料を採取する計画であったが、調査予定時期に現地の天候・海況が悪化し、年度内に試料採取をおこなうことができなかった。

Strategy for Future Research Activity

現在における豪雨と海洋環境の関係の解析について、石西礁湖での機器による海洋観測記録のない10年以上前について、詳細な記録の残る1951年以降の陸上の気象観測記録から海洋環境の変化を見積ることによって、サンゴ骨格年輪試料に記録されているであろう台風などに因る豪雨の時期と同位体比などの気候指標に与えた変化の大きさを推定する。
初年度に遂行できなかった石西礁湖での現地調査を平成30年度に実施し、年輪記録復元に適したハマサンゴの現生群体のボーリングによる骨格試料の採取をおこなう予定である。採取後は、X線写真による年輪解析から年輪の年代を先に決定することにより、現在の気象解析から推定された台風などの豪雨のシグナルが予想される年を優先して分析することにより、研究の推進を図る。本研究で現地調査によってサンゴ試料を採取するのは、海洋環境データ(過去10年)、気象台観測データ(1951年以降現在まで)の両方の年輪記録を含み、さらに観測記録の存在しないさらに過去の復元を目指すためである。しかし、研究の2年目である平成30年度においても現地調査による採取が困難となった場合には、海洋環境データの期間とは重ならないが、研究代表者や連携研究者などが以前採集した骨格試料を用いた解析をおこなうことを検討しており、平成29年度に名古屋大学や東京大学において保管されている試料の調査もおこなった。

Causes of Carryover

平成29年度に石西礁湖において現地調査をおこない、気象記録との対比をおこなう現生のサンゴ骨格試料を採取する計画であったが、研究代表者と連携研究者やボーリング業者の日程を調整した調査予定時期に現地の天候・海況が悪化し、年度内に試料採取をおこなうことができなかったことから、調査で生じる旅費や調査費を使用しなかったため次年度使用額が生じた。
平成29年度に遂行できなかった石西礁湖での現地調査を平成30年度に実施し、年輪記録復元に適したハマサンゴの現生群体のボーリングによる骨格試料の採取と採取後の分析(旅費と測定費を伴う装置利用)をおこなう予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2017

All Journal Article (1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 石西礁湖内に広く分布する黒点の解析とその応用2017

    • Author(s)
      阿部 理・森本真紀・野坂信之
    • Journal Title

      号外海洋

      Volume: 60 Pages: 63-69

  • [Presentation] 濃尾平野における降水同位体の南北分布2017

    • Author(s)
      山田浩加, 森本 真紀, 勝田 長貴
    • Organizer
      日本地球惑星科学連合2017年大会

URL: 

Published: 2018-12-17  

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