2018 Fiscal Year Research-status Report
Comprehending InSAR-detected non-tectonic deformation triggered by earthquakes
Project/Area Number |
17K01234
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
佐藤 浩 日本大学, 文理学部, 准教授 (60360468)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木 浩司 山形大学, 地域教育文化学部, 教授 (40292403)
中埜 貴元 国土地理院(地理地殻活動研究センター), その他部局等, 研究官 (60511962)
宇根 寛 国土地理院(地理地殻活動研究センター), その他部局等, 地理地殻活動研究センター長 (20415037) [Withdrawn]
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 活断層 / トレンチ / 熊本地震 / SAR |
Outline of Annual Research Achievements |
熊本地震に伴い副次的に変位した的石牧場Ⅰ断層の成す撓曲崖の基部で,平成29年度に引き続きトレンチ調査を行った。具体的には,平成30年度にトレンチの増し堀り(底面と山側,谷側に沿ってトレンチの規模を拡大すること)を行い,トレンチ壁面をスケッチして過去の断層変位を観察した。また,トレンチ壁面から平成29年度に採取した土質試料と合わせ,平成30年度に新たにトレンチ壁面から採取した土質試料の年代測定を行い,断層が変位した年代や変位の回数を推定しようとした。その結果,約3,500~約3,400年前に山側からの斜面性堆積物が谷側の河成堆積物を被覆するような断層運動が1回あり,次に,約3,500~約2,000年前あるいはこれよりも新しい時代に2条の断層を生じさせるような断層運動がもう1回あって,上位の斜面性堆積物よりも下位の斜面性堆積物のほうが経験したイベントの数が多い(変位量が2倍程度多い)ことが分かった。 また,断層変位の解釈に利用するため,平成29年度から引き続いて地中レーダ探査でトレンチ周辺の浅部地質構造を推定するとともに概ね全容を把握した。その結果,周囲の露頭や簡易ボーリングによる地質調査の結果と組み合わせて考えると,断層南側の平坦地の地下2~3mに見られた明瞭なエコーは,Aso-4火砕流堆積物の上面を直接捉えたのではなくて,それより上位の地層,すなわち地表下にある黒ボクや河成堆積物の下位にあるローム層または河成礫層の上面を捉えた可能性が出てきた。しかし,この明瞭なエコーが断層に向かって緩やかに傾斜している様子は,断層と直交する他の測線でも見られたため,ローム層のさらに下位に存在するAso-4火砕流堆積物の上面も同様の構造,すなわち北から南へ傾き下がる構造となっていて,正断層性の地表変位を受けていたことが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は,平成29年度に掘削した的石牧場Ⅰ断層のトレンチを増し堀りしたことによって,それまでトレンチ壁面に2条しか認識できなかった断層変位が,山側にさらに数本みられたという新たな知見を得たため,また,トレンチ周辺の露頭の変位地形や露頭の地質調査をすることによって,トレンチ底部に露出していた白色の火砕流堆積物がAso-4火砕流堆積物に比定できることを明瞭に認識したためである。特に,前者については,トレンチの増し堀りの事前に検土杖の浅部地質調査で見当は付いていたことではあったが,その見当を壁面において面的に観察するには,増し堀りをしなければ成し得なかったことであった。このようなことから,研究の所期の目的を達するために,本研究は順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は,これまでの的石牧場Ⅰ断層のトレンチ調査による壁面スケッチから累積性の断層変位が年代とともに明瞭に解釈できるか,研究分担者とともに改めて解釈するとともに,2016年熊本地震による変位の関連性を追究して,3年間の研究のまとめを行う。具体的には,これまでに分析が終わっていないトレンチ壁面や簡易ボーリングの地質コアから採取した土質試料の年代測定,変動地形や周辺の露頭の地質のまとめ,地中レーダ探査から解釈される浅部地質構造を総合的に分析,解釈してまとめに用いる予定である。
|
Causes of Carryover |
平成30年度はトレンチをもう1ヶ所掘削することを計画していたが,所期の目的を達成しない(すなわち,断層変位を受けた地層が河成の厚い堆積物に覆われていたり斜面からの二次堆積物に被覆されて深部にあることが想定され,掘削が難しい)ため,累積性のある断層による変位なのか,それとも地すべりの変動なのか判定するのが難しい)ことが予想されたため中止し,それを受けて,現地調査やその他の費用を活用できなかったためである。 平成30年度の未使用額は,平成31年度の給付額と合わせて,これまで分析が終わっていないトレンチ壁面や簡易ボーリングの地質コアから採取した土質試料の年代測定,変動地形や周辺の露頭の地質のまとめ,地中レーダ探査から解釈される浅部地質構造の総合的な分析・解釈に活用する。
|
Research Products
(8 results)
-
-
-
-
-
-
-
-
[Book] 図説日本の活断層2019
Author(s)
岡田篤正・八木浩司
Total Pages
216
Publisher
朝倉書店
ISBN
978-4-254-16073-4 C3044