2019 Fiscal Year Research-status Report
コーポレートガバナンス・コードの導入効果に関する実証研究
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17K01247
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
永田 京子 東京工業大学, 工学院, 准教授 (10345366)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | コーポレートガバナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は, 2015年6月にわが国において導入されたコーポレートガバナンス・コード(以下、ガバナンス・コード)が,日本企業に与える影響を実証的に解明することを目的としている。研究3年目にあたる本年度は, 昨年度の小サンプルによる予備分析の結果を受けて,引き続き, コーポレートガバナンス・コードの実質的な影響を測定するための手法や新しい測定指標の設定を中心として検討を進めた。ガバナンスコードの第3章でも示されている通り,わが国の上場会社による非財務情報の開示は,ひな型的な記述や具体性を欠く記述となっているケースが少なくない。他方,2018年6月に実施されたガバナンスコードの改訂(以下,2018年の改訂)プロセスでは,パブリックコメントにおいて,投資家と企業との対話の中でESGに関する議論が中心となっていることが指摘され,改めてESGをはじめとする非財務情報の開示の改善を促進する役割がガバナンスコードに求められていることが明らかとなった。実際にこうした指摘を受けて2018年の改訂では「説明等のいわゆる非財務情報」という記述から,より具体的に非財務情報の内容を「会社の財政状態、経営戦略、 リスク、ガバナンスや社会・環境問題に関する事項(いわゆるESG要素)などについ説明等を行う」ものと明示されることとなった。そこで本年度は改訂前後のESGを中心とする「説明」に注目し,ガバナンスコード改訂の影響の測定手法の検討を行い,そのうちの一つの手法を用いて小サンプル調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究プロジェクトが開始後にガバナンスコードの改訂が行われたこと,関連分野における研究の進展等から,当初の計画を調整する必要が生じたこと,当初予定していたリサーチアシスタントの雇用ができず,データベースの作成に時間を要しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
非財務情報を用いた分析に焦点を当てて,実質的な影響の測定に取り組む。
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Causes of Carryover |
当初予定していたリサーチアシスタントの雇用ができなかったため。
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