2019 Fiscal Year Research-status Report
Statistical Mechanical Informatics for Priaml-Dual Structure and Macroscopic Theory Included in Portfolio Optimization Problem
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17K01249
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
新里 隆 玉川大学, 工学部, 助教 (70574614)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ポートフォリオ最適化問題 / 情報統計力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は(1)無リスク資産を含む投資リスク最小化問題と2資産分離定理について議論し,さらに(2)期待収益を最大化するポートフォリオと期待収益を最小化するポートフォリオの関係性を議論し,以下のことが示された.
(1)無リスク資産を含むポートフォリオ最適化問題の最適解(a)と無リスク資産を含まないポートフォリオ最適化問題の最適解を接点ポートフォリオと見なして,無リスク資産と接点ポートフォリオの2資産で構成した最適解(b)と比較し,クエンチ系において両者(最適解(a)と最適解(b))が一致することが示された.またアニール系で得られた2資産分離定理に対応したクエンチ系の2資産分離定理を導出し,その定理の幾何学的な解釈を与えることができた.
(2)投資リスク制約付き期待収益最大化問題と最小化問題(期待収益の範囲を明確にするために)を解き,最大化問題の最適解(a)と最小化問題の最適解(b)の比較を行った.レプリカ解析とラグランジュ未定乗数法を用いて,どの最適解も2つのベクトル(投資リスクの大きさによらない定ベクトルと投資リスクの大きさ位に依存したベクトル)の線型和で構成されていることを示した.さらに最適解同士のオーバーラップを解析し,両者の幾何学的な関係を示すことができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究において,いくつかの解析手法や視点を開発することに成功したことから,少しづつではあるが,様々な投資状況におけるマクロ理論とそれに対応した最適解(ミクロ)の関係を把握できるようになってきた.これにより,当初は解析が困難であると予想された,投資リスク最小化問題の最適解と各種マクロ理論の定理の関係を示すことができるようになってきた.
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Strategy for Future Research Activity |
研究目的であるポートフォリオ最適化問題のマクロ理論の構築を進めるには,実務的な制約も考慮に入れるように最適化問題を拡張する必要がある.今年度は実務的な制約条件の有無で最適解がどのように変化するかを議論していく.また最適解に影響を与えない制約条件の性質(数理構造)を調べ,投資家への最適投資行動の知見を提供していく.
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Causes of Carryover |
マクロ理論とミクロな関係を多角的に示すことを目的として研究をしてきたが,理論解析が難航し,当初予定した期間内に十分な知見を得ることができなかった.そのため次年度も継続し,様々な角度からマクロ理論とミクロな関係を解析していく. これまでの議論で得られた複数の解析手法を用いて,現在,実務的な制約条件が最適解に与える影響を調べており,順調に進んでいることから,研究期間内に示すことができるだろう.
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