2017 Fiscal Year Research-status Report
大規模災害の復興過程における経済支援政策シミュレータの開発
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17K01258
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
後藤 裕介 岩手県立大学, ソフトウェア情報学部, 准教授 (40454037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 慶和 岩手県立大学, ソフトウェア情報学部, 教授 (90201243)
南野 謙一 岩手県立大学, ソフトウェア情報学部, 講師 (20305303)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 社会シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は調査・モデリングとアルゴリズム開発として以下の(1)(2)を実施した. (1)労働市場での行動ルールの定義.典型的な大規模災害として,東日本大震災を事例として取り上げて,震災発生後における就職・転職に関する住民行動ルールを把握するための調査を行った.震災発生後,多くの企業で被災の影響による事業中断や倒産などから従業員の解雇が行われたが,解雇時の行動として類似していると考えられるリストラ時の労働者の行動に関して文献調査を行った.また,岩手県の沿岸地域の就業支援組織へのヒアリングを行った.ヒアリングから,以下の3点が明らかになった.A)震災発生前後では震災被害や復興需要による産業ごとの求人・求職者数の変動が影響して産業構造が変化した,B)これまでと異なる他産業に転職するのは若い世代に多く,40歳を超えると転職は難しくなる,C)定年を迎えた方が震災を契機に労働市場へ復帰し,震災後は65歳以上の労働者が増加した.これらの知見をモデルに組入れた. (2)震災前後での各種パラメータ設定.岩手県の沿岸地域の各自治体の被害状況や人口構成,産業構造,労働市場の変化に関して調査を行った.既存の手法を用いて住民の属性(年齢・性別・世帯)を割り当てた上で,就業状態・職種・給与を既存の統計と整合するように割り当てる方法を整理した.また,労働市場での求人数,求職者数の情報を調査し,現実の統計情報と整合するようなシミュレーション結果となるよう,労働市場での住民の行動モデルのパラメータをキャリブレーションする方法を整理した. (1)(2)に基づいた基礎的な成果として,東日本大震災を対象とした災害からの復興過程における緊急雇用創出事業の効果に関して,スタイライズドファクトとの比較を通じたシミュレーション分析を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度に実施すべき内容が順調に完了したため.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き,アルゴリズム開発を行い,終了し次第,シミュレーション実験を行う.
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Causes of Carryover |
予定していたアンケート調査を実施しなかったため次年度の使用予定としている.
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