2017 Fiscal Year Research-status Report
Risk Analysis and Optimal Coordination for Structure of Eco-Supply Chain
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17K01265
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
楠川 恵津子 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00336801)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | サプライチェーン / クローズド・ループ・サプライチェーン / デュアル・チャネル・サプライチェーン / リスク分析 / 炭素排出 / キャップ・アンド・トレード政策 / ゲーム理論 / 確率・統計 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は,研究課題[I] 環境型製品の生産促進を考慮したECO-SCのリスク分析と最適連携方策の数理解析について研究開発を行った。本年度の研究成果を国内学会で2件,国際会議で3件発表を行い,国際学術論文誌への2件の採択が決定した。 本年度に得られた研究成果を次に要約する.(1)使用済み製品の回収,再資源化から製品販売に至るクローズド・ループ・サプライチェーン(CLSC)で生じる製品需要量の不確実さによる利益が負となる損失領域をリスクと捉え,リスク嫌悪分析を適用し,小売業者と製造業者の2業者が独立した分権型とシステム全体を最適化する統合型での製品発注量,回収インセンティブ,再生下限品質レベルの最適運用を決定した.(2) 新規製品と再生製品の生産と販売を行うハイブリッド生産モードをもつ小売業者と製造業者の2業者からなるサプライチェーン(SC)を研究対象に,分権型と統合型につき,価格と発注量,使用済み製品回収のインセンティブ,再生部品への再生下限品質レベルの最適運用を決定した.(3)店頭小売業者とネット小売業者からなる並行販売につき,価格と配送リードタイム(LT)の製品需要量への影響や顧客返品を考慮し,各業者が協力戦略と競合戦略をとる場合の店頭価格,ネット価格とネット販売での配送LTの最適販売戦略を提案した.(4)最小と最大の製品発注量を設定するフレキシブル発注方策を小売業者,製造業者,リサイクル業者の3業者からなるCLSCに組み込み,分権型と統合型での最小製品発注量 ,最大製品発注量 ,リサイクルインセンティブ ,再生下限品質レベル の最適運用を決定した.(5) 製品需要量と顧客返品率が不確実な場合に製品買戻しを考慮したE-コマース環境下の小売業者と製造業者の2社からなるSCの分権型と統合型での最適発注量,小売価格と返金率の最適決定のリスク分析を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は,研究課題[I] 環境型製品の生産促進を考慮したECO-SCのリスク分析と最適連携方策の数理解析および研究課題[II] 店頭-オンラインの並行チャネルをもつECO-SCのリスク分析と最適連携方策の数理解析の基礎となる研究成果を得た.具体的に平成29年度では,研究課題[I]に関しては,(1)不確実な製品需要量のもとでのクローズド・ループ・サプライチェーン(CLSC)の最適運用のためのリスク分析,(2)価格に対する顧客効用を考慮したハイブリッド生産モードをもつサプライチェーンの最適運用方策,(4)製品需要量と使用済み製品回収量の不確実性をもつCLSCにフレキシブル発注方策を適用した場合の最適運用について,研究課題[II]に関しては,(3)店頭小売とネット小売による並行販売での最適販売戦略,(5) 不確実な製品需要量と顧客返品率を考慮したE-コマース環境下での最適運用のためのリスク分析とサプライチェーン調整 についての研究成果を得ることができた.本年度の研究成果を国内学会で2件,国際会議で3件発表を行い,国際学術論文誌への2件の採択が決定した。 平成30年度は,平成29年度に得られた研究成果に基づき,研究課題[I]では,部品・製品の生産・配送による炭素排出の影響と炭素排出削減のための業者間の契約の導入,使用済み製品の回収量や再生部品の生産量の不確実さのリスク分析,新規製品と再生産製品の製品ライフサイクルの影響が最適運用方策に与える影響について,研究課題[II]では,顧客がもつ製品の価格,ブランドや品質の複数の製品購買嗜好の影響が店頭販売とオンライン販売からなる並行販売の最適販売戦略に与える影響について明らかにする予定である.得られた研究成果は国内学会と国際会議で研究発表を行い,国際学術論文誌に論文投稿を行う予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は平成29年度で得られた研究成果を踏まえ、研究課題[I]に加え,研究課題[II] 店頭-オンラインの並行チャネルをもつECO-SCのリスク分析と最適連携方策の数理解析に関する次の研究題目について研究開発を行う予定である. 研究課題[I]については,(1)部品・製品の生産・配送に炭素排出の影響と政府により施行される操業により炭素排出が生じる業者間で炭素排出量の売り買いが可能なキャップ・アンド・トレード政策を導入したクローズド・ループ・サプライチェーン(CLSC)の最適運用方策,(2)使用済み製品の回収量と再生部品の再資源化量が不確実な場合に,CLSC関連業者の利益損失のリスクを考慮したCLSCの最適運用方策,(3)使用済み製品の再生産とCLSC関連業者の利益の時間効率を考慮した製品ライフサイクルをもつ新規製品と再生産製品の最適販売戦略 について研究開発を行い、研究課題[II]については,製品の価格,ブランドや品質の複数の顧客の製品購買嗜好を考慮した場合の1社の小売業者と2社の製造業者からなるサプライチェーンにつき,3業者が協力戦略と競合戦略をとる場合での最適価格戦略 について研究開発を行う予定である. 各研究課題における研究方法は,在庫管理,品質管理,確率・統計,ゲーム理論などを適用することで,本研究課題の計画に沿って理論解析によるさらなる基礎研究を遂行していく予定である. 平成30年度に得られた研究成果は,国内学会,国際会議での研究成果発表を行い,国際学術論文誌への論文投稿を行う予定である.
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Causes of Carryover |
(理由) 平成29年度の研究計画に沿った研究遂行により,国内学会で2件および国際会議で3件の研究成果発表を行った。国際学術論文誌 Industrial Engineering and Management System への掲載が決定した論文2件分の論文掲載料の支払いが2018年3月31日時点で未決済となっている。また,平成29年度に得られた研究課題[I]と研究課題[II]の研究成果のうち,未発表のものがある.そこで,平成30年度に平成29年度に得た研究成果を国内学会,国際会議で研究成果発表および論文投稿を行うための必要経費に計上する必要があったため.
(使用計画) 平成29年度に得られた研究成果を国内学会である公益社団法人 日本経営工学会 5月春季大会,11月 秋季研究大会および国際会議 The 19th Asia Pacific Industrial Engineering and Mangement System Conference(香港,中国)などにおいて研究発表を行うための学会参加費および旅費などに使用する計画である.また,国内学会および国際会議で研究成果発表後,国際学術論文誌 Industrial Engineering and Management System、オープンアクセスジャーナルへの論文投稿および論文掲載料に使用する計画である.
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Research Products
(9 results)