2019 Fiscal Year Research-status Report
深層学習による金融市場の分析-株式市場の感情抽出と金融政策-
Project/Area Number |
17K01267
|
Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
池田 欽一 北九州市立大学, 経済学部, 教授 (10334880)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林田 実 北九州市立大学, 経済学部, 教授 (20198873)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 畳み込みニューラルネットワーク / 株価変動予測 / ディープラーニング / 株価ローソク足チャート / 出来高グラフ |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、前年度に実施した畳み込みニューラルネットワーク(CNN, Convolutional Neural Network)による株価の変動(上がる、下がる)予測において、入力情報の多重化による予測精度向上についての分析を中心に研究を進めた。 具体的には、前年度システムでは、1分ごとの株価の始値、終値、安値、高値から作成されるローソク足チャートをシステムへの入力画像とし、1分から5分先の株価変動予測を行ったが、この入力情報に株価の変動に対する先行性が指摘されている出来高、つまり取引数量の情報をグラフ化した画像を用いたシステムの予測精度分析を実施した。 シミュレーションによる検証として、前年度と同様に2017年8月1日から2018年1月26日の情報を用いたが、株価ローソク図のみでなく、出来高グラフについてもおよそ3万画像を作成し、その90%をシステムの最適化に用い、残り10%を検証用データとして、未知のデータへの適用可能性の確認に用いた。 その結果、出来高グラフのみであっても、2分から5分後の株価の上がり、下がりの変動の予測精度はおよそ60%弱の正解率となり、株価ローソク図による予測よりは若干精度が低下したものの、ランダムな取引のベースライン50%と比較するとある程度の予測が可能となった。これにより、株価と出来高に一定の相関関係があるということが確認できる。 さらに、株価と出来高の両方の情報を多重化した入力をCNN入力に用い、株価や出来高情報を単独で用いた場合と比較して、おおよそ3%から5%の予測精度向上があるということが確認できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画していた株価変動予測精度の向上については達成できたと考えられるが、平行して実施していた各種マクロ指標と株価の関連性分析では、当初考えていたような関連性は認められず、継続的な研究課題としたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
2020年度には、これまでの株価変動システムについて、情報の多重化や、情報の利用範囲、その他システムパラメータの多様化を用い、多数決システムによるさらなる予測精度の向上や、仮想的な株式取引市場システムを作成し、市場環境の変化が株価予測や価格形成にどのような影響を与えるか分析を実施する予定である。 仮想市場形成には大規模計算が必要となり、時間、設備が不足する可能性がある。そのような場合には、価格決定システムの簡略化や、類似パラメータでの学習計算の共通化など計算の効率化を模索していく予定である。
|
Causes of Carryover |
学会への論文投稿料を予定していたが、論文の即時公開、オープンアクセス性を考慮して、大学紀要へ成果の公表を行ったため、これら予算が未支出となった。 2020年度の支出予定としては、これまで以上の計算量となるため計算システム補強を中心とし、その他、システム開発協力者への人件費、成果報告の旅費や学会への論文投稿料、掲載料への支出も予定している。ただし、新型コロナの影響で旅費の支出は物品費等へ変更とする可能性もある。
|
Research Products
(2 results)