2018 Fiscal Year Research-status Report
人間とロボットの共創作業を考慮したベイズ学習機能付動的ラインセル混成生産システム
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17K01279
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
片岡 隆之 近畿大学, 工学部, 准教授 (40411649)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ラインセル混成生産 / 人間とロボット / ベイズ学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度に実施した研究の成果については,研究計画調書に記載した「研究計画」のとおり,以下の点について研究を進めることができた.本年度は,本研究対象である人間とロボットの共創作業に内在する共創パラメータの設定/分類とその抽出法の調査継続に加え,ラインセル混成計画のための新たな検知・調整方式の確立とモデル化研究に注力した. S2: 共創パラメータの対話型生産システムへのビルトインとベイズ学習モデルの確立(継続実施) 平成30年度の人間とロボットの共創作業に内在する共創パラメータの設定/分類とその抽出法の調査では,被験者とロボットを協働作業させる前(平常時)と,被験者とロボットを協働作業させた後(実験後)に,質問紙法POMSによる感情の測定を行い,人間側がロボットとの協働作業中に感じるストレス及び感情の変化について測定した.その結果をT得点として算出し,そのT得点にt検定を実施することにより,統計的にそれぞれの有意性を確認した. S3: ラインセル混成計画のための新たな検知・調整方式の確立とモデル化 S2の共創パラメータの設定/分類と並行して,ラインセル混成計画モデルの多期間シミュレーションにおける利用可能時間変動(1500~2500)×需要変動(±2~20%)×可変セル(6パターン)の違いについて,目的別に分けて考察した.さらに,収集したデータを基に確率的考察を行うことにより,可変セルの有効性を検証するとともに,新たな検知・調整方式について検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究では,「研究目的」に記載された以下の研究課題に取り組み,次の成果を出すことができた. (目標1) 人間とロボットの共創作業に内在する共創パラメータの設定/分類とその抽出法(継続実施) 新たなモデル検証では,被験者とロボットを協働作業させる前(平常時)と,被験者とロボットを協働作業させた後(実験後)に,質問紙法POMSによる感情の測定を行い,人間側がロボットとの協働作業中に感じるストレス及び感情の変化について測定した.その6つの気分尺度を有意確率5%の両側検定で検証した結果,「抑うつ-落込み」と「疲労」は強い有意性,「緊張」と「怒り」は弱い有意性,「混乱」は有意傾向がそれぞれあり,「活気」については有意傾向がなかった(0.1%以上).ただし,統計学的に有意差は認められなかったが,ロボットとの協働作業時には「混乱」の得点が減少し,「活気」の得点が向上していた. (目標2) ベイズ学習機能を応用した可変型動的ラインセル混成生産管理方式の確立 ラインセル混成計画モデルの多期間シミュレーションにおける利用可能時間変動(1500~2500)×需要変動(±2~20%)×可変セル(6パターン)の違いについて,目的別に分けて考察した.検証の結果,この可変セルモデルは,従来モデルと比較して合計利用時間が増える代わりに,合計オペレーター数を減らすことができる可能性を示した.逆に,可変セルモデルとCPSを取り入れたモデルとを比較すると,合計オペレーター数が増える代わりに合計利用時間が減る可能性を示した.また,特に[-2%~-20%]と[+2%~+20%]の需要の場合,Time/Op値も小さいことから,一人当たりに対する負荷が減少することも判明した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度はほぼ計画通りの研究成果が出ているため,平成31年度は当初計画の通り,以下の内容について研究を進めていく. 1: ラインセル混成計画のための新たな検知・調整方式の確立とモデル化 平成29年度の研究成果に基づくベイジアンネットワークの機械学習方法に関し,平成30年度の研究成果に基づく6つの気分尺度もベイジアンネットワークの要素に取り入れた動的なラインセル混成生産モデルを構築し,さらに平成30年度の研究成果である利用可能時間変動(1500~2500)×需要変動(±2~20%)×可変セル(6パターン)の違いについて実験データを蓄積することにより,再度目的別に分けた検知・調整方式とモデル化を考察する. 2: 動的なラインセル混成管理方式への展開と生産システムの構築 ロバスト性の高い日程計画を支えるラインセル混成管理方式について,最終的に新たに実験用生産システムを構築するとともに,対話型生産システムの再開発を目指す.
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Causes of Carryover |
(理由) 当初予定していた平成31年2月の学会参加(イギリス)による旅費項目を,平成31年6月のさらにレベルの高い学会への発表(イギリス)の旅費項目に切り替えたため.また数値実験におけるデータ整理を自ら実施したことにより,人件費・謝金項目を減少させつつ成果を出すことができたため.さらに追加の新モデルに対する代替実験用のPCと物品が,当初予定よりも安価ながら成果を出すことができたため. (使用計画) 平成31年度は研究の最終年度でもあることから,グローバルな発表とディスカッションを複数回予定している.具体的には,まずThe University of Nottingham(イギリス)にて開催されるレベルの高い学会 (the 10th European Decision Sciences Conference (EDSI2019)) にて発表し,欧州を中心とした技術研究動向をモデルに取り入れたい.さらにChicago(アメリカ)にて開催される大規模な学会(the 25th International Conference on Production Research(ICPR2019))にエントリーし,成果発表の機会を増やすことにより,米国を中心とした技術研究動向を把握し,研究成果レベルのさらなる向上を図りたい.
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