2018 Fiscal Year Research-status Report
The effect and the limit of inhabitants' initial fire fighting activities securing their safe evacuation in case of post-earthquake fire
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17K01287
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
糸井川 栄一 筑波大学, システム情報系, 教授 (80334027)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 市街地火災 / 広域避難 / 初期消火 / 避難限界時間 / リスク認知 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)避難に関するリスク認知・避難行動・初期消火活動参画意向分析: H29年度に初期消火活動参画意向分析を行ったので,H30年度は,避難に関するリスク認知・避難行動に関するアンケートをネット調査により行い,市街地火災に対するリスク認知と避難行動意図に関して,火災関係のハザードマップ提示,自治体からの避難勧告・指示の情報内容等との関係に注目して,分析を行った. (2).市街地火災からの避難における被災リスク分析: H29年度の成果である、実市街地を対象として延焼遮断効果,道路の避難通行可能性を考慮した「避難開始の限界時間」を求めるプログラムを活用して,東京23区の一つの避難圏域を対象として,様々な出火ケースにおける各地区の「避難開始の限界時間」を計算し,各地区の「避難開始の限界時間」に関する確率分布を求め,「避難開始の限界時間」からみた避難リスクを評価した. (3)市街地火災時の住民の初期消火活動と避難リスクのトレードオフ構造の分析: 上述の(2)の成果を利用し,出火地点が確率分布することを考慮した場合の「初期消火活動の限界時間」の考え方を次のように整理し,この手続きを計算するプログラム開発を行った. 出火地点に様々なケースがあることを考慮すると,それぞれの地区の「避難開始の限界時間」は確率分布することから,この累積確率分布上で意思決定者が指定する累積確率(避難リスク)に対応する「避難開始の限界時間」を“許容避難開始時間”とする.その“許容避難開始時間”の制約内で,住民が火災の探索を行った上で初期消火を行った後の避難においても,消火によって変化した「避難開始の限界時間」累積分布上の避難開始時点での累積確率が、上述の指定累積確率を上回らない初期消火時間を、それぞれの地区「初期消火活動の限界時間」とする.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画における住民へのアンケート調査について,本科学研究費補助金による研究費に加えて,他の外部予算による調査と連携させて調査することが可能となり,調査対象地区数,サンプル数等において,計画以上の成果を得ることができ,集計結果について,統計的に信頼性の向上を計ることができた. モデル構築については,ほぼ計画通りの進展を見せているが,各地区の住民が,全域で発生している火災の状況をリアルタイムで認知しない中で,目前の火災に対する初期消火活動(不完全情報下で消火活動意思決定)をすることになることという現実的な課題を可能な限り理論的な枠組みとして組み込むことができた点は,計画以上に進展させることができたと評価できる.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)市街地火災時の住民の初期消火活動と避難リスクのトレードオフ構造の分析: H30年度成果である「初期消火活動の限界時間」のフレームに基づいた計算アルゴリズムを完成させ,様々な出火件数,出火位置,延焼速度と指定する累積確率(避難リスク)の条件下で,モンテカルロ法による計算実験を行い,初期消火活動後も活動前の避難リスクを担保できる初期消火活動の限界時間」を求めるとともに,そのトレードオフ構造を明らかにする.
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Research Products
(4 results)