2017 Fiscal Year Research-status Report
高難度手術の教育システム開発~いかに安全に職人技を継承させるか~
Project/Area Number |
17K01289
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
高橋 誠 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (10361718)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大川 淳 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (30251507)
二村 昭元 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, ジョイントリサーチ講座准教授 (40622098)
吉井 俊貴 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (50583754)
田中 雄二郎 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (70236644)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | シミュレーター教育 / 医療技術教育 / 医療安全 / 医学教育 / 頚椎後縦靱帯骨化症 / 塩造形モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
解剖学的特性を備えた実体モデルを用いた手術操作訓練のためのシミュレーターの開発のため、まず、健常者の頸椎CT画像データから骨モデル(塩造形モデル)を作製した。続いて、作製した頚椎モデルに対し、頚椎前方手術に熟練した研究者2名が椎体切削の模擬手術操作を実施し、その使用感を調査した。その結果、1)塩造形モデルの形状は実際の頚椎と同等であった、2)椎間板の硬度が高く、鋭匙による椎間板郭清手技が困難であった、3)ドリルでの椎体切削手技はおおむね良好に実施できたが、皮質骨、海綿骨の硬度差がより大きい方が、実際の手術において術者が手に感じる感触をより再現できると思われた。結論として、塩造形モデルは、頚椎前方手術トレーニングの実体モデルとして使用可能と思われたが、精緻な手術操作の獲得のためには、椎間板および皮質骨、海綿骨の硬度の改良が必要と考えられた。 平行して、高難度手術である頚椎後縦靱帯骨化症(OPLL)に対する前方骨化浮上術に内在するリスクの網羅的な解析のため、当該手術のエキスパートである研究者3名を対象として、危険因子分析法(医用HAZOPなど)を実施した。その結果、1)手術野の展開、2)椎間板の郭清、3)椎体の切削、4)後縦靱帯骨化巣の菲薄化、5)スペーサーの移植、6)頸椎プレートの設置の各手術手技において、食道損傷、神経損傷、血管損傷、出血等のリスクが抽出された。結論として、上述の頚椎モデルは、椎間板の郭清、椎体の切削、後縦靱帯骨化巣の菲薄化の各手術手技の訓練に使用可能と思われた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画の「解剖学的特性を備えた実体モデルを用いた手術操作訓練のためのシミュレーターの開発」については、塩造形モデルの使用可能性は明らかになったが、改良すべき点が明らかとなり、患者データでのモデル作製に到達していないが、「高難度手術に内在するリスクの網羅的な解析」については、ほぼ目標を達成しているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
頸椎塩造形モデルの改良を図り、患者データでのモデル作製を行う。また、それを使用して模擬手術を行い、トラブルシューティングの実施訓練プログラムを開発する。
|
Causes of Carryover |
試作した頸椎塩造形モデルに改良が必要となり、当初計画していた数の塩造形モデルが発注出来なかったため、次年度使用額が生じた。次年度、改良を図った塩造形モデルの作製費に使用する計画である。
|