2018 Fiscal Year Research-status Report
Nanostructure analysis and discrimination of metallic pigments in automotive coating films for forensic investigation
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17K01298
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
西脇 芳典 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 講師 (50632585)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自動車塗膜 / 放射光 / 自動車顔料 |
Outline of Annual Research Achievements |
交通犯罪解明のため、自動車塗膜片の異同識別は重要である。証拠試料は微細化し、自動車塗膜を構成する有機高分子の赤外分光分析(FT-IR)では、異同識別できないケースが多発している。近年、意匠性を高めるため、光輝材としてメタリック顔料を含む塗膜が増加している。メタリック顔料は雲母・アルミニウムフレーク・アルミナ等の鱗状基材に金属酸化物を皮膜したナノ構造を持った無機物である。メタリック顔料は100種類以上あり、特徴的な微量元素成分・ナノ構造情報を有するが、異同識別に用いられていない。そこで本研究では、実験室で実施できる光学顕微鏡検査・SEM-EDS分析、従来法である顕微FT-IR分析を実施した上で、高輝度で微量成分を分析でき高い空間分解能で観察できる放射光蛍光X線分析(XRF)、X線吸収端近傍構造分析(XANES)・X線CT分析を組み合わせ、メタリック顔料の微量元素成分・ナノ構造に着目した自動車塗膜片の新規非破壊異同識別法の開発を目的とした。 本年度は、メタリック顔料を含有するシルバーメタリック自動車塗膜片について、従来法と放射光放射光蛍光X線分析を行った。昨年度に確立した前処理を行った上で分析を実施した。 まず、メタリックを含有する樹脂のFT-IRを実施したところ、3グループに分類された。FT-IRは現在最も有効な手法だが、識別力は高くないことが示された。SEM-EDSを行った結果、メタルダレ防止剤の硫酸バリウム由来のSとBaの有無により2グループに分類された。放射光蛍光X線分析を行った結果、アルミニウムの同族元素であるGaの他に、Ti、Cu、Fe、Zn、Pb、Sr、Zrが識別に有効な微量元素として、メタリック顔料1粒子から検出された。まったく新しい識別指標を見出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シルバーメタリック顔料を有する自動車塗膜片について、メタリック顔料1粒子の微量元素成分(アルミニウム99%以上)を用いた新しい識別方法を見出すことができた。また、実験室でも実施できるFT-IRおよびSEM-EDSを用いた新しいグループ分け指標を明らかにできた。 以上のことから、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
検出された元素についてXANES分析を実施し、微量元素の化学状態を明らかにする。並行して、X線CT分析を実施し、非破壊で構造を明らかにする。これらの情報に基づいて、データベースの作成を試みる。データベースは、パールマイカ、メタリック顔料の鱗状基材の粒子径・膜厚・微量元素成分・化合物、皮膜金属酸化物の化合物・膜厚の情報から作成する。迅速・正確に検索するシステム開発の検討を同時に進める。
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Research Products
(3 results)