2019 Fiscal Year Research-status Report
ドライバの親和性と受容性が高い自動運転車に向けた予測・制御ロジックの構築と評価
Project/Area Number |
17K01305
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
竹本 雅憲 成蹊大学, 理工学部, 准教授 (70437515)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ヒューマンファクター / 運転行動 / ドライビングシミュレータ / 自動運転 / 運転交代 / 交差点 / 交通事故 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、自動車の自動運転システムとドライバとの親和性および受容性を高めるため、自然で安全な運転が期待できる教習所指導員の運転行動を基盤とした、自動運転システムの予測・制御ロジックを構築して評価することを目的とする。 前年度までに、教習所指導員の運転行動を記録する実車両実験を実施した。実験後には記録データを用いて教習所指導員にヒヤリングを行い、特に確認行動の詳細を明らかにした。そして、対向車両や横断自転車との交錯位置を想定した道路上の基準位置からのTTC(衝突余裕時間:Time To Collision)を用いて、確認行動と確認時の車速制御に関する定量的なデータの分布を得た。加えて、実車両実験の分析データを用いた予測・制御ロジックを検討した。具体的には、教習所指導員の規範的な確認行動の流れを軸として、確認の対象物、および確認の順序とタイミングを予測ロジックに組み込み、確認時の車速を制御ロジックに組み込んだ。さらに、ドライビングシミュレータの実験環境に自動運転走行を試作的に実装した。 今年度は、自動運転に関する研究事例の調査を通して、完全自動運転だけでなく、システムの機能限界に伴う運転交代場面での検討も必要だと考え、自動運転システムと自動車ドライバとの間でのインタラクションをシステム設計に組み込んだ。そして、信号交差点右折場面を対象として、システムの評価・検証実験を実施し、システムの課題を見出した。 今年度は、設計したシステムに課題を残したため、追加の評価・検証実験が必要であると考え、研究実施期間を1年延長した。研究成果としては、関連研究について自動車技術会学術講演会で口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は3年で実施する計画であったが、3年間での進捗状況にやや遅れがあり、実施期間を4年に延長した。各年度の研究実施内容は概ね以下の通りである。すなわち、平成29年度(1年目)は実車両実験の分析データに基づき、予測・制御ロジックに必要な基盤データを得た。平成30年度(2年目)は、実車両実験の分析データを用いて、自動運転の予測・制御ロジックを構築した。平成31年度・令和元年度(3年目)は、自動運転の予測・制御ロジックをドライビングシミュレータの実験環境に実装し、評価・検証実験を実施した。そして、令和2年度(4年目)は、前年度の評価実験で不十分であると考えられた制御ロジックおよびドライバへのインタフェースを修正し、再度、評価・検証実験を実施した上で、予測・制御ロジックの設計要件を求める。 3年目は、信号交差点右折場面を対象として、自動運転車両と自動車ドライバの間でのインタラクションにより、ドライバの親和性・受容性と安全性を両立するシステムを設計し、ドライビングシミュレータを用いた評価・検証実験を実施した。対向車両に対しては期待通りの結果が得られたが、横断自転車に対しては自動運転車両と自動車ドライバとの間に、特に安全性の面でいくらか乖離が見られた。この乖離を埋めるためにインタラクションおよびインタフェースの面を改良して、再度、評価・検証実験を実施するために、研究実施期間を1年延長した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は計画から多少の遅れが見られる。今年度は既に評価・検証実験を実施しているため、次年度はこれまでの経験を活かし、研究を推進できると考える。また、ドライビングシミュレータを用いた評価・検証実験の準備では、シミュレータのソフト会社と十分に議論し、プログラムのコード記述などは同会社に委託して、今後の研究を推進する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度の評価・検証実験では、十分な実験参加者のデータを得られなかった。そのため、次年度で追加実施する評価・検証実験のために、実験準備および参加者への謝金などを次年度に繰り越した。
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Research Products
(2 results)