2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of the technique for the assessment of fault activity using the formation age of clay minerals in fault rocks
Project/Area Number |
17K01326
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
福地 龍郎 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (90212183)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 活断層 / 断層ガウジ / 粘土鉱物 / モンモリロナイト / カリ長石 / アンモニアラジカル / 熱水反応 / ESR年代測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
糸静線活断層系白州断層ガウジや野島断層ガウジの源岩である花崗岩,カリ長石標準試料(産総研),モンモリロナイト標準試料(日本粘土学会)を実験試料として,様々なpH条件下で熱水反応実験を実施した。その結果,モンモリロナイトや熱水変質を受けたカリ長石から特徴的に検出され,年代測定に適用可能な四重信号(Mo四重信号)は,酸性・アルカリ性に関係なく,NH4+イオンを含む熱水との反応によって生成されることが判明した。これは,モンモリロナイトやカリ長石中のK+イオンがNH4+イオンと置換し,天然放射線下でアンモニアラジカル(・NH3+)が形成されることが原因であると考えられる。 一方,白州断層により破砕された破砕花崗岩から検出されるMo信号を用いて,ESR年代測定を実施した結果,1.38±0.32Maという年代値が得られた。破砕花崗岩からはスメクタイト(エチレングリコール処理により14.6Å→17.0Åとピーク変化)が検出されており,Mo四重信号は白州断層による断層破砕の際の熱水変質により生成されたと考えられるので,得られたESR年代値は断層活動の年代を示すと共に,Mo四重信号と同時期に生成されたスメクタイトの生成年代を示すと考えられる。そこで,本断層露頭(標高680m)付近における地温勾配(40℃/km,深度501mにおける地温83.9℃)とスメクタイトの形成温度(≦120℃)を元に,本露頭におけるスメクタイトの形成深度を見積もると,深度1403.5m以浅となった。さらに,本露頭を含む周辺地域の隆起速度(0.9~2.0mm/y)を元にスメクタイトの生成年代を見積もると,≦1.0~2.3Maとなり,ESR年代値と矛盾しないことが明らかとなった。 その他,アルカリ性条件下での熱水反応により生成した方沸石に起因する新たなESR信号が検出され,断層活動の年代測定に適用可能であることが判明した。
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Research Products
(4 results)