2018 Fiscal Year Research-status Report
火山ガス成分と火山物理の融合的観測・分析による火山活動度の評価の研究
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17K01332
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
高木 朗充 気象庁気象研究所, 火山研究部, 室長 (70354537)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 無我 気象庁気象研究所, 火山研究部, 研究官 (20785430)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 火山ガス / 地殻変動 / 火山化学観測 / 火山物理観測 / 融合観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
吾妻山大穴火口の火山ガス活動に伴う地殻変動を把握するため、平成29年度に設置した光波測距観測点による繰り返しの測距観測およびGNSS繰り返し観測を実施した。その結果、2018年夏ころから大穴火口が膨張する地殻変動を捉えることに成功した。一方、気象庁の多成分火山ガス観測装置により、大穴火口から放出される火山ガスの成分比(SO2/H2S)が、夏ころから明瞭に増大したことがわかった。また、気象研究所が大穴火口の南約300mに設置した土壌ガス観測装置では、夏ころよりCO2の放出率が増大したことがわかった。 以上から、火山ガス活動と地殻変動の活動は同期しており、火山ガス成分の変化と地殻変動をもたらす火口直下浅部に存在すると推測される熱水だまりの圧力との間に強い因果関係があることが示唆された。 他方、気象庁が1950年代から2001年までの間に,火山現地観測で実施していた検知管法による火山ガス成分観測で得られたデータ(H2S,SO2およびCO2の濃度)を,火山現地観測原簿に立ち戻って点検し,全国18の火山で行われたのべ6153回の観測データをデータベース化した.それを用い、火山ガス濃度の時間変化と,噴火等の火山活動との関係について火山ごとに確認した。その結果、吾妻山では、CO2/H2S比が1977年噴火の前の急激な増大と噴火後の明瞭な低下が、約10か所の噴気孔すべてで同様に観測されていることが確認された。過去の噴火に伴って火山ガス成分比の変化があったことが明らかとなり、今後の研究の推進に向け重要な知見が得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実際に火山活動の変化に伴う地殻変動データ、火山ガスの組成変化データ、および土壌ガスの放出量データを取得することに成功した。これら実データに基づいた計算により、熱水だまりにおける諸条件について検討することが可能になる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後さらにデータを蓄積し、火山の地下のガスだまりにおける温度圧力条件に伴う組成変化と,それによって期待される地殻変動を明らかにするための融合シミュレーション研究に着手する.吾妻山に加え、九重山等における観測も加え、積極的に地殻変動観測やガスのサンプリング・分析を実施し,シミュレーション結果との比較検討を行う.
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Causes of Carryover |
平成30年度には吾妻山でガスの直接採取による分析結果を予定していたが、噴火警戒レベルが引き上げられ、火口に近づくことが困難になったため、取得した火山ガスデータはモニタリングによるデータのみとなった。このため、九重山等、直接採取が可能である火山についても観測を着手した。次年度は、吾妻山における高頻度の観測と九重山等の観測に用いる。
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Research Products
(6 results)