2018 Fiscal Year Research-status Report
疎水性をもつ土によるキャピラリー・バリア型の自然斜面被覆層としての適用性評価
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17K01337
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
加藤 正司 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (10204471)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 疎水性材料 / せん断強度 / 遮水性 / キャピラリーバリア |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,市販のシラン系コンクリート防湿材によるシラン処理方法について検討を行った。このシラン系防湿材を用いると,シラン系試薬を用いた処理の場合に行う炉乾燥処理が必要ではないめ,現場の土を処理する際,より簡単な工程で処理が可能となる。実験結果によると,防湿材を用いても豊浦砂では疎水性が発揮されることが確認された。しかし,まさ土のような粒度分布が良い試料の場合,接触角から見ると疎水性は発揮されるが,豊浦砂に比べて浸透性が良い結果となった。このため,まさ土の場合,遮水層としては,粒度の調整等が必要となる可能性があることが予想された。 次に,シラン処理を行った,まさ土(2㎜フルイ通過分)と豊浦砂について,一定密度で飽和度の異なる供試体を用いて一面せん断試験を行った。得られた結果,シラン処理により疎水性が発揮された場合,土の種類にかかわらず強度はやや低下することが確認された。ただし,その低下の程度は,土の種類によって異なることが確認された。このため,自然斜面の表面に疎水性の土を遮水層として用いる場合は,適用する斜面の角度が低くなることが予想された。 また,高い遮水性をもつ疎水性地盤層の実用化の検討のために,キャピラリーバリア(CB)盛土の室内模型実験により斜面の安定化工法としての適用性を評価した。このため,CB盛土の礫層に珪砂1号を,砂層に豊浦砂の親水材と疎水材の混合物を疎水性地盤層として設置し,降雨強度 20,50,100mm/hrの降雨に対して浸透状況の観察によりその遮水機能を調べた。特に,親水材と疎水材の混合率によるCB盛土の遮水機能を表す限界長について検討した。得られた結果として特に注目されるのは,疎水材の混合割合によっては,フィンガーリング現象が生じて限界長が短くなるケースが見られたことである。この結果は,遮水層の設計において注目すべき点であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究実施計画のうち,疎水性材料の連続加圧型の保水性試験装置については,一部の試料に対する試験が終了した。なお,今年度,新たに追加して基本的特性を調べた,シラン系コンクリート防湿材処理による疎水性材料については,次年度,連続加圧方式の試験装置により保水特性を調べることとする。模型土槽試験についても,今年度は予定通り実施した。実験結果から,フィンガーリング現象が生じて限界長が短くなるケースが見られたことは,新たな知見である。この結果については,次年度,継続して検討を加えるものとする。今年度の研究の進捗は,おおむね順調と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度,基本特性を調べたシラン系コンクリート防湿材処理による疎水性材料については,小型土層による降雨試験を実施し,どの程度の降雨まで遮水性を保つか検討を加えることが,実用化のために必要であると考えられる。また,次年度の実施予定の降雨浸透解析および安定解析については,今年度,見出されたフィンガーリング現象の影響を踏まえて,その解析方法について検討する予定である。
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Causes of Carryover |
残額が少なすぎたため,適切な物品購入が出来なかった.
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Research Products
(2 results)