2019 Fiscal Year Research-status Report
磁気共鳴温度計測及びインシリコ解析による温熱療法の特性解明と体組成に対する至適化
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17K01357
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
熊本 悦子 神戸大学, 情報基盤センター, 教授 (00221383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 輝 東海大学, 情報理工学部, 教授 (70205243)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 加温特性解析 / 磁気共鳴診断装置 / 集束超音波治療 / 電磁界解析 / 磁気共鳴温度分布画像化法 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,以下の研究を行なった.MRを併用した集束超音波治療において温度上昇の監視を磁気共鳴温度画像化法により行う際,MRデータ取得を高速化することにより,より詳細な解析が可能となる.そこで,複素MR信号を格納するk空間の特徴とMR画像のスパース性に着目した圧縮センシングMRIを用いた.術前に収集したMRデータより元画像との誤差が最小になるように位相エンコードの回数を削減し,撮像時間を縮小した.また,信号復元には反復計算が必要であるが,これを最適化問題として定式化し,初期勾配の値よりも十分小さくなれば至適な解が得られているものとして反復回数を削減する.本手法を健常ボランティアの腹部MR画像に適用したところ,収集率50%で,k空間の低周波領域の収集割合を多くしたもので,温度誤差の平均が0.22℃,画像取得時間の平均が1枚あたり1.52秒となった.また,矢状断MR画像を用いて超音波照射位置追尾を行なった結果,加温位置の追尾誤差をは平均2.30mmであった.これらの結果は,集束超音波治療の実施が十分に可能な水準であった. また,誘電加温の特性解析のための数値シミュレーションのQAのためのベンチマークテストを構築し,異なるフレームワークにおける整合性の検討を行った.円柱ファントムモデルおよび人体モデルを使用し,Sim4Lifeならびに自作ソフトウェアを使用して,電解,電流,SARならびに温度の解析を行った.その結果,ファントムモデルでは結果がよく一致していること,人体モデルでは組織が複雑であるため結果にばらつきがあることがわかった. 他に,水と脂肪が混在する組織のMR温度分布画像下法について検討した.共鳴周波数とスピン・スピン緩和時間を用いた手法を提案し,レーザ加温下のウシ筋肉・脂肪混在組織に適用し9.4Tの実験用MRI装置で温度分布を求め,手法の有用性を確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は,圧縮センシングを用いて高速MRIによる集束超音波治療における磁気共鳴温度画像化法の提案及び検討,誘電加温の特性解析のための数値シミュレーションのQAのためのベンチマークテストの構築,水と脂肪が混在する組織のMR温度分布画像下法について検討した. 本研究で明らかにしようとしている以下の3つの点についてそれぞれ進んでいるが進捗としては少し遅れており,1年の研究期間延長を申請するに至った.
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Strategy for Future Research Activity |
計算機シミュレーションについては,対象を絞り,綿密な計画を立てて効率よく実施していく必要がある.今後は,モデルの適切な対象を選択し,これまでの研究の成果を取りまとめ,体組成に応じた治療効果と安全性の評価をさらに進めていきたい.
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Causes of Carryover |
研究の進捗の遅れにより、平成31年度出席予定であった国際学会について、次年度に出席する計画となったため、次年度使用額が生じた.
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Research Products
(12 results)