2019 Fiscal Year Annual Research Report
Fully in vitro process for hair follicle regeneration using cell organization and mechanical stimulation
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17K01369
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
宮田 昌悟 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (70376515)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 毛包再生 / 三次元培養 / 力学的刺激 / マイクロインジェクション |
Outline of Annual Research Achievements |
毛髪に関わる疾患は生命活動に直結する疾患ではないが,がん治療などにおける毛髪の減退や損失に代表されるように患者のQOL回復や社会的復帰の障壁となっている.本研究では,異なる2種の細胞からなる微細構造体を構築し,加えて力学的刺激を印加することで,生体外プロセス単独での生体外の毛包構造の再生を目指した. 2019年度は,ハンドリングの容易さ,力学的刺激の効率的な付与,培養液および酸素の浸透性向上を理由として,培養形態をゲルビーズ構造からマイクロ流体デバイスを用いた細胞ファイバ(細胞をマイクロサイズの直径のゲルファイバに包含した構造)に変更して,力学的刺激の培養デバイスを改良・発展させた.特に力学的刺激の様式としては,2019年度の研究において引張刺激や組織内部に生じている圧縮応力が支配的であるとの結果を得ていたことから,当初の計画で予定していたせん断刺激ではなく繰り返しの引張変形刺激の印加を可能とした培養デバイスとした.培養細胞は,マウスES細胞,マウス胎児由来皮膚細胞に加えて皮膚の高次構造をなす立毛筋を模擬するために,マウス由来筋芽細胞株による培養試験も実施した. その結果,力学的刺激および多層構造をなす微細構造体の構造により,マウスES細胞およびマウス胎児由来皮膚細胞の境界部に相互の細胞が作用することで,複数の毛包様の構造体を形成させることができた.この構造は,生体内の毛包と同様に中心部にケラチンを含む同心円体構造を形成し,さらに周囲には立毛筋と同様の筋様組織を認めた. 以上,2019年度は力学的刺激の様式を繰り返し引張刺激に変更し,さらに培養形態をゲルビーズからマイクロゲルファイバとすることで,毛包構造様および立毛筋様の組織を含む再生組織を構築することができた.これらの再生プロセスは全て生体外で実現されたものであり,研究計画で予定された当初の計画は達成されたと言える.
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Research Products
(20 results)