2017 Fiscal Year Research-status Report
座位・身体不活動により脆弱化する骨の代謝を非侵襲的にモニターする測定法の開発
Project/Area Number |
17K01377
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
高垣 裕子 神奈川歯科大学, 歯学部, 特任教授 (60050689)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 岳史 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (10251612)
河田 亮 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 講師 (30329198)
川股 亮太 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教 (40329199)
成瀬 康治 北里大学, 北里大学メディカルセンター, 講師 (60276087)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 身体不活動 / 走行運動 / 歩行制限 / 糖尿病 / Ca安定同位体比 / モデルラット / 血流量 / 骨量 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】我々は,開発した身体不活動モデルラットではヒトの薬理濃度のアレンドロネートが却って下肢の皮質骨骨質の劣化と強度低下をもたらすことを報告した。一方2型糖尿病は不活動 physical inactivityが重要なリスク因子となる生活習慣病で,骨折リスクの増加など様々な合併症をもたらすが,患者予備軍が糖尿病に至る経過を評価するのは難しい。本年度の計画通り運動の効果がすでに報告されているOtsuka Long-Evans Tokushima FattyラットOLETF♂を各群5匹ずつ通常飼育W,歩行制限U,任意走行運動負荷Rの3条件下で8週齢から16週間飼育し,対照群C(LETOラット)と比較する目的で実験を実施した。【方法】WはCに対してpair feedingされた。非侵襲的マーカーの候補として,尿中のCa安定同位体比と,歯科で測定が容易な歯周粘膜下の末梢血流量を測定,実験終了後には骨その他の臓器を回収した。【結果】1)血糖値はWで高く特に高い個体がみられ,Rで低い,2)血圧はOLETF全群でCより高い,3)心拍数はUのみC より高い。有意でないが安静時血流量はUで低くCで高い傾向だった。4)1分間虚血後の反応性充血については,総増加血流量がWに対してRで高い.ピークに至る%増加率も同様の傾向だった.5)Uの食餌摂取量は少なかった。6)骨量・骨形態では,海綿骨のBV/TVやTb.N,Tb.spについてRがUより高値(Tb.spは低値)であったが, Uの皮質骨Ct.Arなどでは5)と関連するためか,血糖値に似てOrtinau et al.らが報告したカロリー制限食群における改善と類似の改善効果がみられた。7)計画殺前の尿から回収されたCaとその安定同位体比40Ca対42Caは比例関係を示し,W群の高血糖2個体が顕著な低値を示した.以上より,選んだ2法は有効と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自発走行運動させたR群では,ほぼ予測された通りの改善効果が血糖値や骨量で見られた。一方身体不活動U群では,自発的に食餌摂取量が少なかったため,骨量において,Ortinau et al.らの報告したカロリー制限食群における結果と類似の改善効果がみられた。これは使用した糖尿病モデルラットOLETFの特性に依存する結果であり,当初の意図とは異なる結果となったものの,妥当である。
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Strategy for Future Research Activity |
身体不活動(歩行制限)U群で自発的に食餌摂取量が少なかった事により,血糖値と骨量で他施設から報告されたカロリー制限食による結果と類似の改善効果を与えた。この点を,別途詳細に解析する必要が有る。更に必要と判断される場合は,カロリー制限食群と歩行制限群を比較する新たな実験を加え,意図しなかった歩行制限に由来する効果との区別を図る。
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Causes of Carryover |
骨切片の作製・測定を謝金を使用して行う予定であったが、検体の使途に変更の可能性が生じて保留となったため。
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