2019 Fiscal Year Research-status Report
座位・身体不活動により脆弱化する骨の代謝を非侵襲的にモニターする測定法の開発
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17K01377
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
高垣 裕子 神奈川歯科大学, 歯学部, 特任教授 (60050689)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 岳史 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (10251612)
河田 亮 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 講師 (30329198)
川股 亮太 神奈川歯科大学, 歯学部, 特任教授 (40329199)
成瀬 康治 北里大学, 北里大学メディカルセンター, 講師 (60276087) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 身体不活動 / 廃用性骨萎縮の定量化 / 安定同位体比 / カルシウム代謝 / 糖尿病 / 骨粗鬆症 / 運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
ICP-MS(誘導型結合プラズマ質量分析法)は高感度で定量性が高く, 多元素の安定同位体間の主に質量数の違いによって生じる反応効率の差から安定同位体メタロミクスを解析でき, 元素代謝指標としての活用が開発されている。本研究による補正方法の改良によりこれまで不可能だった精細な安定同位体比の計測方法が確立されて安定同位体比が安定的に測定できるようになり, 糖尿病モデルラットでは44Ca/42Caが野生型より低く,同位体比と大腿骨海綿骨の粗鬆化に相関がみられた.骨体積や骨塩量の場合顕著であるが,特別に運動させていない糖尿病モデルラットは肥満のために徐々に巨大化するため見かけ上値が大きくなる.一見“良い骨”のように映ってしまうが正しくないので,実測値ではなく体重(サイズ)の補正処理後の値が必要となる.様々な補正法が提案されているが,目的に応じて使用されているため,今後の検討により適切な方法で補正する.一方でCa 安定同位体比の場合は生体産物の同位体比を元にカルシウム代謝状態の評価を行うので,測定値がそのまま粗鬆化の度合いを示すという大きなメリットがある.更に今回の実験から,身体不活動によってそれらの骨から得られる測定値が変化するずっと以前に, カルシウム同位体比の変動から骨の溶解が検出できることが判明し,将来的な臨床応用の価値が高いと考えられる.採取の際に他のCa源からの混入を防ぐことさえできれば,家庭で蓄尿された常温の尿検体からでも,発症前の微小な変化を察知できる可能性が高い.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
糖尿病モデルラットOLETFを納入した供給会社の不手際で30年度11月末から再実験を行うことを余儀なくされたが、30年度に行った再実験の結果から,身体不活動が糖尿病の発症を早めると考えられる結果が得られた。すなわち,8週齢でスタートさせた歩行制限により身体不活動状態にしたOLETF個体では,一般ケージで飼育した個体に比してはるかに早期の5週間経過以降に血糖値のスパイクが生じた.OLETFでは,今回の実験飼育終了時の24週齢(16週間の飼育後)では腎臓に病変がみられるようになるとされているが,身体不活動群の個体で糸球体の異常がより顕著であった. 一方予想できなかった点としては,歩行制限が続いた結果身体不活動群の個体は実験後半に食欲が減退して体重の増加が鈍り,自由歩行させたOLETF個体に比して低体重となった.その結果,すでに報告のある食事制限の効果と同様に血糖値の正常化がみられることとなった.
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Strategy for Future Research Activity |
データの解析,特に重量/体積を考慮した補正に様々な方法が提案されているので,検討の上適切な方法を用いて骨関連のパラメータを補正し,運動と身体不活動の影響を導き出したうえで論文作成を行う.
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Causes of Carryover |
実験開始の遅延に伴いデータの解析と論文投稿が遅れたため
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Research Products
(5 results)