2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of lecithin-modified therapeutic proteins as biobetters
Project/Area Number |
17K01395
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
石原 務 日本大学, 工学部, 教授 (70349554)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | バイオベター / レシチン / 抗体 / DDS |
Outline of Annual Research Achievements |
タンパク質をレシチンで化学修飾したバイオベター(改良型バイオ医薬品)の開発を行った。タンパク質としては、ライソゾーム酵素のアガルシダーゼあるいはIgG抗体のオマリズマブを用い、その活性や培養細胞との相互作用の評価を試みた。 タンパク質のレシチン修飾体は、タンパク質を溶解した緩衝液と活性化したレシチンを溶解した有機溶媒を混合することで合成した。合成したレシチン化タンパク質は、アガロースゲル電気泳動および逆相カラムを用いたHPLCにより解析した。レシチン化アガルシダーゼをHeLa細胞あるいはヒト血管内皮細胞細胞の培養液中に添加し免疫染色したところ、レシチン化アガルシダーゼは非修飾体に比べ細胞内に多く取り込まれることがわかった。また、蛍光ラベルした基質を取り込ませた細胞とインキュベートすると、レシチン化アガルシダーゼでは顕著に基質の消光がみられたことから、レシチン化アガルシダーゼが生細胞のライソゾーム内で高い酵素活性を示すことが明らかになった。さらに、レシチン化アガルシダーゼは細胞毒性が低く、また血漿タンパク質と複合体を形成していることもわかった。 一方、レシチン化抗IgE抗体では、マウスマスト細胞の脱顆粒を抑制できないことがわかった。その原因を調べたところ、レシチン化により抗体の抗原結合性が消失していることがわかった。そこで合成条件を再検討したところ、反応時に用いる有機溶媒の混合比を50%から33%まで下げると抗原結合性が維持できることがわかった。さらに、免疫染色からレシチン化した抗体がより多く細胞内に取り込まれることが明らかになった。
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