2019 Fiscal Year Annual Research Report
Preparation of functional protein film for the treatment of inflammatory disease
Project/Area Number |
17K01401
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
山添 泰宗 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (00402793)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | タンパク質 / 活性酸素 / 炎症性腸疾患 / フィルム / バイオマテリアル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、タンパク質を用いて炎症を鎮静化させる作用を持つフィルムを作製し、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患の治療に応用することを目的としている。今年度は、これまで得られた知見をもとに、アルブミン、SOD、カタラーゼを用いて直径 100μmの微小フィルムを作製した。さらに、フィルムの腸への付着性を向上させるために、フィルム表面にカーボポール(架橋型アクリル酸共重合体)を共有結合で結合させた。 マウスから採取した大腸を用いて微小タンパク質フィルムの腸への付着性についてex vivo評価を行った。大腸内にフィルムを導入して付着させた後、一定の流速で腸管内にPBSの送液を行った。その結果、送液後においても、導入したフィルムの56%が剥離せずに腸に付着していることが分かった。また、腸表面とフィルムの付着力を測定した結果、0.94 N/cm2であることが分かった。 腸内の様々な環境(①大腸液は弱アルカリ性、②炎症の進行により、腸組織のpHが酸性側に傾く、③ガスが通過する)を考慮し、タンパク質フィルムの耐アルカリ性、耐酸性、耐乾燥性、について評価した結果、酸性(pH=4)やアルカリ性(pH=10)溶液への暴露や24時間の乾燥処理においてもフィルム内部のSODやカタラーゼの酵素活性が損なわれないことが分かった。 デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘発腸炎マウスを用いて、微小タンパク質フィルムの抗炎症作用についてin vivo評価を行った。フィルムは、腸炎マウスの直腸に投与した。一定期間飼育後、フィルムを導入した箇所の腸(大腸の下末端)を採取し、ミエロペルオキシダーゼ活性(炎症の重篤度を反映する)を指標に炎症の程度を評価した結果、フィルムの投与により、炎症の改善が見られることが分かった。
|
Research Products
(3 results)