2017 Fiscal Year Research-status Report
臨床使用のための選択式脳低温療法専用温度管理システムの開発
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17K01405
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
本間 達 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 助教 (60361721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 南 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 教授 (20311194)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 病態脳数理モデル / Fuzzy適応制御則 / 病態脳模型 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.選択式脳低温療法専用の温度管理アルゴリズムを検討するために使用する数理シミュレーションプログラムのための基礎理論を一般化した.この成果について論文をまとめ,学術誌(和文・英文)に掲載された. 2.数理シミュレーションにより見出された設定値に基づいて,選択式脳低温専用の臨床用温度管理装置を設計し,部品の選定をおこなった.各部品ごとに必要な加工を施し,組み込み可能な状態とした.さらに,これらを接続する電子回路を設計し,研究室で独自に製作した. 3.臨床の患者病態の特徴を再現する病態脳を定義し,数理モデルを作成して数理シミュレーションにより,その特性を検討し,病態脳模型を設計した.単純化するために脳内に組み込む血管模型の形状により血流循環を阻害する設計とし,同時に当該部位の発熱を再現するために発熱体を偏在して組み合わせた. 4.病態脳模型を制作するための専用金型の形状をMRIデータに基づいて設計し,専門の業者に依頼して制作した.この金型を用いて病態脳の制作を開始した.上述の模擬血管模型と発熱体を,金型内に設置後,シリコンゴムを流して脳の形状を再現する模型を4つ作成した. 5.温度管理アルゴリズムについて検討し,従来開発してきたFuzzy制御則と適応制御則を組み合わせて選択式脳低温療法専用のFuzzy適応制御則を開発し,国内の学会にて発表した.従来より検討してきたPI制御則と合わせて4つの温度管理アルゴリズムについて,開発中の臨床用温度管理装置のプログラムに反映するために,患者の病態を種々に変更した216パターンの病態モデルについて数理シミュレーションをおこない,有効性の検証をおこなっている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
数理シミュレーションによるアルゴリズムの評価はおおむね完了しており,また当初2年目に予定していた脳模型の評価実験は,完成した模型から順次進行している. その一方で,臨床用温度管理装置を構成するための各部品(可動部,筐体,電子回路(インターフェースおよび制御回路),温度管理プログラム)などは準備できているが,これらを一つに組み上げての動作確認およびバランス調整に至っていない.これらは現在進行中の状況にあるので,間もなく動作試験に移行できる見込みである. また,脳模型制作に必要なゴムなどの消耗品が,年度変更にまたがったため入手が一時的に停止し,制作がやや遅れているが,すでに新たな部材の発注準備は整っており,間もなく制作を再開する予定である. 1年目に予定されていたすべての計画が完了している状況ではないが,2年目予定されていた一部の研究を前倒しで進めており,総じて言えばおおむね順調に進行していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に研究計画にしたがって進行する予定であるが,温度管理のために必要な温水と冷水の循環・混合システムの論理アルゴリズムの改良により,装置全体の温度管理性能の向上が期待される可能性が出てきたので,これについても並行して検討する予定である. 成果については随時内外の学会で発表する予定であり,このための準備を進めている.学会発表後に論文としてまとめ,年内に投稿したいと考えている.
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Causes of Carryover |
脳模型を作成するための金型作製費として,専門の職人を雇用して制作を依頼する予定であったが,職人の所属する製作所での作成となり,製造に必要な部品も別途発注する予定がすべて一括して制作された物品を購入するという手続きとなった. また,一部消耗品が市場の変動により想定していたより廉価で購入できた. これらの状況により,予定していたより若干の予算が残り次年度使用額となったが,主に前年度制作予定であった分の模型用資材購入費として使用する予定である.
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