2017 Fiscal Year Research-status Report
マイクロ流体デバイスによる循環がん細胞除去法の開発
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17K01432
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Research Institution | Toyama Industrial Technology Center, |
Principal Investigator |
高田 耕児 富山県工業技術センター, 機械電子研究所, 主任研究員 (40530621)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横堀 武彦 群馬大学, 未来先端研究機構, 講師 (60420098)
安田 佳織 富山県立大学, 工学部, 助教 (70707231)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 循環がん細胞 / マイクロ流路チップ |
Outline of Annual Research Achievements |
循環がん細胞(CTC)は血液中を流れるがん細胞であり、がんの転移の原因の一つと考えられている。そのため、血液からCTCを分離することができれば、血行性の転移を抑える革新的ながん治療に繋がる可能性がある。私たちのこれまでの研究から、マイクロ流路チップにより血液から培養がん細胞を分離できることがわかっている。本研究では、血液から長時間連続的にCTCを分離することのできるマイクロ流路デバイスの開発を行っている。マイクロ流路チップは流路を形成したチップとフタを貼り合わせて作製するが、試料を長時間流すとフタが次第に剥離するため、チップとフタをチップホルダで押さえて漏れないようにする。ラット血液に培養がん細胞を混入させた試料を用いてチップの評価を行ったところ、チップホルダの押さえ方で分離性能に違いがあることが新たにわかったため、チップホルダの改良を行った。具体的には、長時間送液時のチップからの漏れを抑えるには一定の力以上でチップホルダのインプット側を押さえる必要があるが、同じ力でアウトプット側や中間を押さえると培養がん細胞と白血球の分離能が悪くなることがわかった。これは流路のわずかな変形が極めて大きな影響を与えるためと考えられ、この結果を踏まえて、適切なチップホルダを用いることができるようになった。また、チップに送液チューブをつなぐコネクタについても長時間送液すると外れることが新たにわかったので、コネクタの改良を行った。これにより平成30年度以降、改良したチップホルダやコネクタで実験を行うことができるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイクロ流路デバイスの開発と血液送液実験を密接に関係させながら進めることができた。本研究の重要な項目の一つは、血液を長時間連続的に流すことのできるデバイスを開発することであり、平成29年度は、そのためのチップホルダやコネクタについて検討し、改良することができた。当初想定されていた全血の凝固の問題は、今回のラット血液を用いた実験(抗凝固剤としてEDTAを用いた)では発生しなかったため、その問題は平成30年度以降に検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の研究で、チップホルダやコネクタを改良することができ、血液を連続的に送液することができるようになったため、平成30年度以降は血液送液実験をさらに進めていくとともに、動物実験も検討する。 血液送液実験では、抗凝固剤、流路構造、並列化、送液条件、しきい値等について検討を行う。 平成29年度のラット血液を用いた実験(抗凝固剤としてEDTAを用いた)では凝固の問題は発生しなかったが、今後さらに大量のラット血液やヒト血液を用いた場合には凝固の問題が出てくる可能性が高いため、他の抗凝固剤について検討する。また、マイクロ流路内圧力が血液の凝固や溶血等に影響すると考えられるため、マイクロ流路内圧力を許容範囲内に抑えるために、流路構造、並列化、送液条件を検討する。さらに、CTCには様々なサイズのものがあり、現在のしきい値では対応できない可能性があるため、しきい値を変えたチップも検討する。
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Causes of Carryover |
当初は、血液送液実験において全血の凝固の問題に対処するため、抗凝固剤の検討やマイクロ流路構造の変更等を想定していたが、平成29年度のラット血液を用いた実験(抗凝固剤としてEDTAを用いた)では、凝固の問題は発生せず、これらの検討を行う必要が無かったため、次年度使用額が生じた。 平成30年度以降の血液送液実験において、さらに大量のラット血液やヒト血液を用いた場合には凝固の問題が出てくる可能性が高く、この問題に対処するため、抗凝固剤の検討やマイクロ流路構造の変更等に使用する。
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Research Products
(2 results)