2017 Fiscal Year Research-status Report
間葉系幹細胞へのストレスによる骨関節疾患発症メカニズムの解明
Project/Area Number |
17K01452
|
Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
木村 智子 滋賀医科大学, 医学部, 特任助手 (00449852)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇田川 潤 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (10284027)
醍醐 弥太郎 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (30345029)
桑形 麻樹子 一般財団法人食品薬品安全センター秦野研究所, その他部局等, 研究員 (70398684)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 胎生期低栄養 / メタボリックシンドローム / 骨関節疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
母獣が妊娠中に食餌量を制限されていない対照群と、妊娠5.5~11.5日のごく初期のみ対照群の40%に食餌量を制限された制限群の2群を作成した。また、ここから生まれた仔ラット雌に対し、性成熟後の12週齢時点で卵巣提出術(OVX)か偽手術(Sham)を行ない、対照OVX群、対照Sham群、制限OVX群、制限Sham群の4群を作成した。術後12週(24週齢)まで経過を追いながら、定期的に採血と採尿を行なった。さらに24週(36週齢)まで経過を追い、12週齢(対照群と制限群のみ)ならびに24週齢と36週齢(4群すべて)時点の3点で材料採取を行なった。 12週齢時には両群間で体重差が認められなかったが、術後はOVX群がSham群に比べ体重増加率が高かった。特に、制限OVX群では顕著に体重増加が認められ、胴回りを中心に丸々と太った体型となっており、胎生初期低栄養ストレスが閉経後に高度肥満を引き起こすことが明らかとなった。これはメタボリックシンドロームに繋がることから、他の身体変化についても調査する必要性が生じた。また、本研究を行なう上でも、体重増加による骨関節疾患への影響について考慮する必要性が生じた。メタボリックシンドローム関連の解析により、全ての群で血糖値や循環コレステロール値には変化(異常値)が認められなかったが、制限OVX群においては肝臓内の中性脂肪が高く、肝表面所見も著明な点状の黄白斑が確認され、胎生初期低栄養ストレスは非アルコール性脂肪性肝疾患も引き起こすことが示唆された。これら研究成果は、学会発表(第123回日本解剖学会. 2018.)で発表した。また、本研究の基礎研究として、長管骨モデリング解析につながる「胎生期低栄養による生後の脛骨成長障害」関連の研究成果が学術論文に掲載された(Gen Comp Endocrinol. 2018 May 1;260:58-66.)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初より予定していた研究成果のみならず、新たな発見として骨関節疾患など運動器疾患へ影響を与えうるメタボリックシンドロームの関連症状が見出された。そこで、同時にこれらメタボリックシンドロームに対する解析も進めていくこととなり、当初予定していた予算内での進行が困難な項目も出現した。現在の進捗状況の遅れも含め、再度研究計画を立て直しながら、予算内で有益な成果を生み出す努力をしている。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題において、当初は骨粗鬆症ならびに変形性関節症をターゲットとして解析を進めていく予定であったが、これら加齢性の運動器疾患とも深く関連するメタボリックシンドローム関連の解析も同時に進めていく必要性が生じている。従って、今回は骨粗鬆症に関連する解析のうち、骨強度に関わる力学的解析を中止し、生化学的解析ならびに遺伝子発現解析を進めることで、胎生期低栄養ストレスが骨関節疾患発症に与える影響を明らかにしていく。また、これまでに実験動物より採取した材料をもとにして、形態学・生化学的解析とともに遺伝子発現解析を進めていく。従って、長期にわたる実験動物の飼育を行なうことなく、スムーズに解析段階へと実験を進めていくことができると考えている。
|
Causes of Carryover |
当初、平成29年度計画では骨髄由来間葉系幹細胞の培養実験により、胎生初期低栄養ラットの長管骨におけるモデリング機構の変化を調べる予定であったが、研究分担者との協議の結果、先に最終形態を確認するために卵巣提出術後24週時点での状況確認を行なうこととなった。その結果、次年度に予定していた実験動物の飼育費などの経費を前倒ししなければならない状況となった。そこで、年度末に前倒し請求を行なったが、年度末であったため、必要な備品・消耗品の年度内購入が困難であると判断し、研究分担者との協議を行なった結果、次年度へ繰り越して研究を遂行することが決定し。なお、本協議の終了が平成30年3月中旬となったため、繰り越し請求には間に合わなかった。従って、今回請求を行ないたいと考える。
|
Research Products
(4 results)