2018 Fiscal Year Research-status Report
脳梗塞発症前・後の運動療法による機能回復と神経保護メカニズム解明に関する研究
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17K01459
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
榊間 春利 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (10325780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 逸郎 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (80183573)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | preconditioning exercise / 内因性保護因子 / 14-3-3γ / 脳神経保護効果 / 脳梗塞 / 抗アポトーシス効果 / 予防運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度、予防的トレッドミル(preconditioning exercise)による脳神経保護効果と内因性保護因子による抗アポトーシスのメカニズムを明らかにした。 ラットを用いて3週間のトレッドミル運動(25m/min、30分/日、5回/週)を行い、予防運動後に脳梗塞を作製した。その後、梗塞巣の体積や運動感覚機能を評価した。また、内在性保護タンパクである14-3-3γ、預血誘導因子であるHIF1α、ATP受容体でイオンチャンネル型P2X受容体であるP2RX7、活性化アストロサイトのマーカーであるGFAP、アポトーシスに関与するBax、Caspase-3、さらにリン酸化β-catenin Ser37の発現を調べた。 運動によって14-3-3γ、HIF1α、P2RX7の発現量が増加しており、虚血類似ストレスが脳に生じ虚血耐性を獲得することが確認された。脳梗塞後に、14-3-3γ、HIF1αは運動群で有意に増加し、14-3-3γの増加と関連して、p-β-catenin Ser37も有意に増加していた。さらに、Bax、Caspase-3の発現量が有意に減少し、脳梗塞巣の縮小と運動-感覚機能も非運動群と比較して運動群で有意に改善していた。 本研究では、虚血前の運動が内在性の保護因子であるHIF-1α及び14-3-3γの発現を介して脳虚血耐性を誘導することを示唆した。preconditioning exerciseによって増加した14-3-3γは、神経保護機構の1つの基礎をなす14-3-3γ/p-β-catenin Ser37/Bax/Caspase 3の抗アポトーシス経路による神経細胞死を減少させ、脳梗塞後の脳梗塞体積および運動-感覚障害を減少させることを示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り研究計画が進行しており、研究成果を国内、国外に発表している。
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Strategy for Future Research Activity |
申請時の計画通り、Preconditioning exerciseによる脳梗塞後の脳神経保護効果と機能回復に関するメカニズム解明を進める。具体的には、予防リハビリテーションの医学的根拠を確立する。老化モデル動物を使用した研究、Postconditioning exercise、脳保護期間の持続時間の解明、効果的なpreconditioning exerciseの頻度、時間、期間を明らかにする。
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Research Products
(4 results)