2017 Fiscal Year Research-status Report
随意的筋収縮が脊髄興奮性に及ぼす機序の解明とリハビリテーションへの応用
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17K01461
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
原 元彦 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (30386007)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脊髄興奮性 / F波 / 経頭蓋直流電気刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、安静・不動が余儀なくされる部位と異なる部位の随意的筋収縮と運動想起(Motor Imagery: MI)が脊髄前角細胞の興奮性に与える影響を臨床神経生理学の立場から検証し、得られた結果を機能再建に応用する可能性をリハビリテーション医学の立場から探求する。(1)脊髄の髄節性支配が異なる筋の随意収縮とMIが脊髄興奮性に及ぼす影響を尺骨神経刺激で第1背側骨間筋(FDI)から導出したF波で検討する。(2)異なる髄節性支配を受ける筋の筋収縮とMIがもたらす脊髄興奮性に及ぼす影響が,経頭蓋直流電気刺激(tDCS)によるNeuro-modulationで生じる変化を検討する。 平成29年度は、当初計画通りに、FDI(髄節性支配C8-Th1)より高位の髄節性支配を受ける筋のうち、(1)脳神経支配で神経核が脳幹に位置する咬筋と(2)上肢帯-上肢の筋のうち髄節性支配がFDIの髄節支配より高位の三角筋、上腕二頭筋,上腕三頭筋の3筋を対象に各筋の安静時、MI、軽度収縮時に同側のFDIから導出したF波を解析することで、脊髄の髄節性支配がFDIより高位の筋のMIと筋の随意収縮がFDIを支配する脊髄前角細胞の興奮性に及ぼす影響を検討することを目標にPilot Studyを実施した。咬筋を用いた予備実験を健常対象6名に、上肢の三角筋を用いた予備実験を咬筋の対象とは異なる健常対象6名に実施した。咬筋の実験では、平成30年度実施予定の左半球運動野にanodal tDCS(1mA、20分)でconditioningを行い、conditioningの前後で、各筋の安静時、MI、軽度随意収縮時の右FDIのF波を記録した。結果については解析中であるが、三角筋を用いた予備実験では同筋ではMIのTaskの困難性を被験者から指摘されているので、その点も含めて検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者が学部長を兼務することになり学内管理業務が急増し当初予定していたEffortを研究に割けなくなったこと、年末以降は2018年度から医学部大学病院への異動がほぼ確定的になったためである。2018年度当初には異動直後で同様の事情が予想されるが、実験自体は2017年度も進行しているので、今後の研究計画全体への影響は研究期間の範囲内では限定的と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
咬筋を用いた経頭蓋直流電気刺激(tDCS)の検討対象数を予定の10例程度まで拡大し、データ解析を行う。なお、tDCSについては実験機器を移管できたが、前職において研究代表者が実験専用に使用していた筋電計を移管することができなかった。現在、大学病院内で実験に使用できる筋電計の使用状況などを確認中である。
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Causes of Carryover |
2017年度に生じた本研究に対するEffortの度合いが低下した要因については、研究の進捗状態に述べたように研究は進行しており、研究期間全体への影響は限定的と考えている。しかしながら、研究代表者の異動に伴い研究に欠かせないtDCSの装置は赴任先に移管できたが、従来使用可能であった記録用の筋電計の移管ができなかったため、2018年度の赴任先で本研究に使用可能な記録用の筋電計の使用状況(研究目的での使用の可能性など)を現在学内の関係部署と検討している。今後、機器の購入または機器使用に関連した経費が発生する可能性があり、検討結果によっては今年度中に経費の使用目的の変更の必要性が生じる可能性がある。
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