2018 Fiscal Year Research-status Report
Prediction of prognosis of post-stroke hemiparesis using tractography of the pyramidal tract
Project/Area Number |
17K01464
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
加藤 宏之 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (60224531)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脳卒中 / リハビリテーション / トラクトグラフィー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、脳の運動ネットワークの主たる構成員である錐体路(皮質脊髄路)の損傷の程度に焦点を当て、脳梗塞患者における錐体路の損傷の程度を拡散テンソル・イメージングによるトラクトグラフィーを用いて評価し、脳梗塞後の片麻痺の予後の推察の指標となるか否かを検討した。 今回われわれは、皮質下(内包、基底核、放線冠)の急性期脳梗塞で入院した患者を用い、発症3-10日後に脳MRI検査と錐体路のトラクトグラフィー検査を行ない、病巣と錐体路の空間的位置関係、および、片麻痺の程度との関連性を検討した。 患者は56-85歳で、女性7例、男性8例、左片麻痺10例、右片麻痺5例で、片麻痺の程度は、高度3例、中等度2例、軽度10例であった。 トラクトグラフィーで描出される錐体路と梗塞巣の位置関係は以下の通りであった。高度片麻痺例では、3例全例で錐体路が梗塞巣を貫通していた。中等度片麻痺例では、錐体路が梗塞巣を貫通が1例、梗塞巣に部分的に含まれるのが1例であった。軽度片麻痺例では、錐体路が梗塞巣に部分的に含まれるのが4例、梗塞巣に接するのが4例、梗塞巣と離れるのが2例であった。 以上より、高度片麻痺では全例で錐体路は梗塞巣を完全に貫通していたが、一方で、錐体路のかなりの部分が梗塞巣に含まれていても片麻痺の程度が軽度の症例も少なくなかった。片麻痺の程度は、錐体路が梗塞巣にどれだけ含まれるかと、梗塞巣の障害がどれだけ強いかの2つの要素が関連すると示唆される。今後、症例を増やして、さらに検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
症例の集積がおおむね順調に進んでいる。 トラクトグラフィー解析も特に問題なく行われている。 脳卒中急性期の患者のデータ解析は、今回、研究実績の概要として報告したように、脳卒中後の片麻痺の程度は、錐体路が梗塞巣にどれだけ含まれるかと、梗塞巣の障害がどれだけ強いかの2つの要素が関連すると示唆されるという、方向性が見えてきた。今後は、症例数をさらに増やして、結論をさらに強固なものにしていきたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通り、脳卒中後の片麻痺を有する患者のトラクトグラフィー検査を継続して収集し、データの蓄積に努める。 脳卒中急性期の患者のデータ集積は順調に進んでいるが、片麻痺が中等度~高度の患者数が、軽症の症例に比して少ないので、今後、さらなるデータの集積に努め、結論を強固なものとしたい。 脳卒中慢性期の患者データに関しては、まだ、症例の集積が不十分なので、今回、研究実績の概要として報告するに至っていないので、今後、データの集積に努め、しっかりした結論に至りたい。
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Causes of Carryover |
研究の進捗状況をはおおむね順調にすすんでいるが、症例の集積がやや遅れているので、研究費の使用は、消耗品の使用や研究成果の報告などに関して、予定通り進まなかった部分があり、次年度使用額が生じた。 複数年度で研究の遂行を計画しており、次年度の研究の推進を考慮して、今年度中の研究費の使用は特に調整しなかったので、次年度に研究を促進して研究費を使用する。 今後、症例の集積が進めば、それに合わせた研究費の使用が増加して行くと考えられる。
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