2017 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の多様なバランス制御方略を考慮した転倒危険因子の解明と介入プログラムの開発
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17K01479
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
笹川 俊 神奈川大学, 人間科学部, 准教授 (90551565)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 立位 / バランス / 制御 / 運動協調 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、健常若齢者を対象として、安静立位時における多関節協調のタイミングやパターンについての検討を実施した。その結果、安静立位中に不規則に生じる微小転倒局面においては、近位関節から遠位関節(股関節→膝関節→足関節)の順に関節角度変位が生じていることが明らかとなった。その一方で、関節トルクの発揮タイミングには三関節間に殆ど差がないことも明らかとなった。さらに、いずれの関節においても関節角度変位-関節トルク間には明確な関係性が見出されなかったのに対し、全ての関節において身体重心変位-関節トルク間に二峰性の"drop and catch"パターンが観察された。以上の結果は、股関節における角度変位が身体の微小転倒に関する最も早い求心性情報を提供しうること、ヒトの神経系が個々の関節運動ではなく、身体重心の運動に応じて関節トルクを変調していることを示唆するものである。これらは、立位バランス制御能力の加齢変化を検討していく上で、重要な知見といえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度は、健常若齢者を対象として、立位バランス制御における関節間協調についての基礎的な知見を得ることに注力したため、当初予定していた高齢者を対象とした大規模な測定を実施することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、当該年度に得られた研究成果を原著論文として出版するための執筆作業を進めると同時に、多くの高齢者に研究に参加してもらえるようなフィールドを確保し、バランス能力の測定を実施する計画である。
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Causes of Carryover |
当該年度は多くの旅費(海外学会出張)が発生し、当初計画していた機材を購入することができなかったため、次年度使用額が生じた。上記の機材は次年度以降に購入する計画である。
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