2018 Fiscal Year Research-status Report
新規開発する刺激法による老化に伴う疾患発症の作用機序解明とその利用発展の検討
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17K01484
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
山田 晃司 藤田医科大学, 保健学研究科, 教授 (60278306)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 骨粗鬆症 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨粗鬆症は高齢者女性に多く、その患者数は1,300万人と推定され、そのうちの約90万人が転倒による骨折が原因で寝たきり者となっている。骨折はADLに影響を及ぼし、QOLを低下させるためこれを予防することが重要かつ有効であると考える。骨粗鬆症に伴う骨折の好発部位には大腿骨頚部や腰椎椎体などがある。高齢者に頻発する骨粗鬆症に伴う骨折の予防を目的とし、振動と振盪を組み合わせた新規刺激装置を作製し、骨密度低下モデルマウスに対して検討を行った。 マウスICR のメスに卵巣摘出術を施した骨密度低下モデルを作成し、1日1回30分間の刺激を6日間連続で行い、10週間継続して行った。その後、大腿骨及び腰椎を採取し、骨形態計測法を用いて比較検定を行った。その結果、大腿骨に関しては刺激有群が刺激無群に比べBS/TV、N.Oc/ES、Oc.S/ES、Omt、Tb.N、 Mlt(p<0.01)、N.Ob 、N.Ob/TV、sLS、N.Mu.Oc/ES、N.Mo.Oc/ES(p<0.05)が有意に増加した。また、刺激有群が刺激無群に比べBS/BV、Tb.Sp 、MAR、Aj.Ar(p<0.01)、ES、ES/BS、BRs.R(p<0.05)が有意に低下した。また、腰椎に関してはO.Th、OV/BV、MAR(p<0.05)において対象群である刺激なし群に比べ刺激あり群が有意に高い値を示した。 この刺激により骨芽細胞が活性化され、一方では破骨細胞も活動していることが推察でき、活発な骨のリモデリングが行われていると考えられた。これは骨形成過程の途中段階にあり、この後に骨石灰化が起こることが推察された。 この刺激方法は刺激が困難である腰椎への刺激ができる装置の検証ができ、急激な骨密度低下を緩和することが示唆された。この刺激方法を発展させ、臨床応用することは新たな骨粗鬆症の予防と治療の可能性を期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新規刺激法の刺激装置の作成は予定どうり順調に作成することが出来た。その刺激装置の効果の検証は骨密度低下モデルマウスにおいてその効果をある程度確認することが出来た。この刺激効果のメカニズムの解明という点で筋発現タンパク質(マイオカイン)の解析が少し遅れている。マイオカインの発現は筋肥大する筋から発現するため今回の刺激期間では考えていたほどの筋肥大が認められないこと、また、骨解析の結果からも刺激期間が不足しているのではないかなどが考えられるためである。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、運動後の筋肉を液体窒素下で粉砕し、筋溶液を作成し破骨細胞の培養細胞系においてその効果を検証している。また、新たに老化促進モデルマウスSAMP8において、この刺激による認知症予防効果の検証と共に、刺激条件を変えて刺激期間を6カ月に延長した条件により研究を推進している。ロータロッドテスト(運動学修)、Y字迷路(探索行動)、T字迷路(空間学習)、Passive avoid test(長期記憶)行動解析を一部終了し、刺激効果が認められている。今後は脳組織標本を作製し解析を行っていく予定である。また、新たに共同研究者と多発性硬化症モデルマウスに対しても同様な刺激を行いその効果を検討する。
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Causes of Carryover |
メカニズム解析が遅れ、使用する試薬に使用期限があるため 本年度、最終年度となりその解析を遂行できる予定である。
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