2019 Fiscal Year Research-status Report
廃用性筋萎縮からの回復でおこる炎症に対する効果的治療法開発に向けた基礎研究
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17K01488
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Research Institution | Kansai University of Welfare Sciences |
Principal Investigator |
廣島 玲子 関西福祉科学大学, 保健医療学部, 准教授 (40404777)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山路 純子 (田代純子) 関西福祉科学大学, 健康福祉学部, 教授 (40340559)
森 禎章 関西福祉科学大学, 保健医療学部, 教授 (70268192)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 廃用性筋萎縮 / 回復過程 / 炎症反応 / ミオシン重鎖アイソフォーム / 炎症性サイトカイン / リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
医療臨床現場では廃用性筋萎縮が頻繁にみられ、その回復がリハビリテーションにおいて重要課題となる。廃用性筋萎縮を発症した骨格筋は脆弱となり自己体重を負荷するだけで筋損傷が起こり、そこから炎症反応が惹起され、その後回復へと進むことが我々の先行研究で明らかになった。本研究はこの損傷から起こる炎症が回復過程に及ぼす影響について筋細胞レベル、分子レベル、遺伝子レベルで詳細に分析し、また回復過程において様々なリハビリテーション治療法介入の効果やその効率について検討することを目的とした。 まず、Wistar系雄ラットを使用して下肢にギプス固定を施しヒラメ筋に廃用性筋萎縮を発生させた。2週後ギプス固定を解放し、ラットは再びケージ内を自由に動くことができるようにした。ギプス固定解放直後に抗炎症剤をラットヒラメ筋に注射し、その後の回復過程を3日後、7日後、14日後に実験群(抗炎症剤注射群)と対照群(抗炎症剤なしで自然治癒群)で比較・検討した。本実験指標としてミオシン重鎖アイソフォーム3種(MHC-Iβ、MHC-Ⅱa、MHC-Ⅱb)、炎症性サイトカイン3種(IL-6、IL-1、TNF-α)のmRNA遺伝子およびタンパク質レベルで発現量を分析した。 平成31~令和1年度は主として炎症実験(抗炎症剤投与による影響)を検討し、廃用性筋萎縮からの早期回復段階(3~7日)で起こる炎症の程度やメカニズム解明への足掛かりを検証した。今後はその結果を踏まえ、数種のリハビリテーション治療法を介入しそれらの効果や効率性について比較・検討する。本研究結果をもとに、どのような治療方法が最も効果を表すのか、またいつからどの程度の期間に治療を実施するのが最適かなどを臨床現場に提案していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
先行研究では抗炎症剤としてデポ・メドロール水性懸濁注射液(ファイザー社)を使用してヒラメ筋に注入したが、筋活動低下のラットヒラメ筋は懸濁液の吸収が遅く筋摘出時に薬剤結晶が筋表面に残留したままのものが見られたため、本実験では懸濁液ではなく水性薬剤に変更した。 また、先行研究では右下肢のみにギプス固定を実施したが、ラットは他の部位を使って動き、ギプスを齧るなどギプスから解放されようとするためギプスの巻き直しを頻繁に行わなければならなかった。そのため本実験では、ラットの動きをより制限するためおよびヒラメ筋組織を採取し免疫組織染色を実施するため右左の両下肢をギプス固定するなどの改良を施した。 さらに、mRNA分析のためのリアルタイムPCRで使用する特異的プライマーの再選択、タンパク質分析のためのWestern-blottingで使用する抗体の選別など、実験精度を高めるべく実験手順の見直しや分子生物学的解析技術の詳細を再確認しながら実験を進めているため、進捗状況は遅れている。 これらに加え、R2年2月より新型コロナウイルス感染拡大防止のため大学による動物実験の中断を余儀なくされ、現在もまだ動物実験再開の許可が出ておらず本研究の実験進捗はさらに遅れる現状にある。
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Strategy for Future Research Activity |
大学での動物実験の許可が出たら、すぐに本研究の実験を再開する。 実験動物(Wistar系雄ラット)を使用して両下肢をギプス固定しヒラメ筋に廃用性筋萎縮を発症させ、ギプス固定解放と同時に抗炎症剤をヒラメ筋に注射し、その回復の程度について本実験指標をもとに検討する。その後は、炎症実験結果を踏まえて、廃用性筋萎縮からの回復過程において数種のリハビリテーション治療法を介入する。抗炎症剤の有無による炎症反応や程度の違い、現在リハビリテーション現場で用いられる数種類の治療法介入効果の比較、薬剤とリハビリテーション治療法併用の効率性について検討する。 これら実験結果より、廃用性筋萎縮からの回復過程における炎症メカニズムの解明、その回復過程でどのような治療方法が最も効果を示すのか、またいつからどの程度の期間治療を実施するのが最適かなどを検討し、国内外での学会発表や研究論文投稿を通して臨床現場に提案していく。
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Causes of Carryover |
(理由)これまで本実験手順の見直し、使用薬剤・機器の再考、分子生物学的解析技術のリサーチなど実験精度を高めるため本研究方法詳細を再確認しながら実験を進めている。そのため、直接経費からの物品購入などの支出がまだ少額にとどまり、大部分が次年度への使用額に加算された。
(使用計画)R2年度は動物実験を再開し、実験動物に関連する物品などを購入予定である。また、リアルタイムPCRに使用するプライマー、Western-blottingに使用する抗体や薬剤などは高額のためそれらの購入も次年度に予定している。さらに、筋組織免疫染色は専門業者に依頼するためその費用の支出も予定される。これらに加え、実験動物用治療機器の購入も予定している。総合的には、これら物品・機器や薬剤などは高額になり、次年度はこれら購入に研究費の大部分が使用されると考える。
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Research Products
(1 results)