2017 Fiscal Year Research-status Report
筋電位から随意運動を推定するリハビリ支援ロボットのための促通的訓練システムの開発
Project/Area Number |
17K01491
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
林 良太 岡山理科大学, 工学部, 教授 (40288949)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 浩治 岡山理科大学, 工学部, 教授 (00254433)
衣笠 哲也 岡山理科大学, 工学部, 教授 (20321474)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 表面筋電位 / 知能ロボティクス / リハビリテーション / 医療・福祉 / 訓練支援 / 技能獲得 / メカトロニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、「表面筋電位でロボットハンドを制御する訓練システムの構築」を目標として、以下の項目に沿って研究を遂行した。 (a)上腕固定台の設計:訓練者が楽な姿勢で上腕を固定することができる台を作成した。その際、手関節は自由に運動できるようにして、固定台にウレタンゴムを敷き、面ファスナーを用いて上腕を傷めずに固定できる構造にした。 (b)表面筋電位測定システムの構築:上腕を台に固定した状態で、表面筋電センサ(ID2PAD:追坂電子機器製)を2個使用して、手関節の掌屈と背屈に関する2箇所の表面筋電位を測定するためのシステムを構築した。そして、複数の被験者を対象に手関節を掌屈させて意識して強く力んだときの表面筋電位の変化を調べた。その結果、繰り返し測定を実施すると表面筋電位の大きさが少しずつ大きくなる場合があることを確認した。これにより、訓練をすることで少しでも大きな表面筋電位を発生できるようになる可能性があることが分かった。 (C)ロボットアーム制御システムの構築:手関節の掌屈と背屈の運動をモデル化した1リンク回転ロボットアームを試作し、測定した被験者の表面筋電位の値に応じて操縦することができる制御システムを構築した。そして、試作したロボットアームを一定時間内で往復運動をさせる操縦課題と往復回数による評価を設定して、複数の被験者に繰返し試行した結果、訓練の効果が見いだせることを確認した。その際、被験者の手関節を拘束して動かなくした状態で訓練した場合と、拘束しないで自由に動かせる状態で訓練した場合とで条件を変えて比較すると、前者の方が訓練の効果が高い傾向にあることが分かった。 以上の研究成果について、平成29年12月に開催された計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会、および平成30年3月に開催された日本機械学会中国四国支部第56期総会講演会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、「表面筋電位でロボットハンドを制御する訓練システムの構築」を目標としていた。上腕固定台については、ウレタンゴムと面ファスナ―を用いることで、手関節は自由に運動できる状態で上腕を傷めずに固定するという目的に沿ったものを作成できた。ただし、訓練の条件を変えるためには、手関節の運動を拘束する方法や、振動や力覚を提示する刺激装置を取り付ける方法を今後工夫する必要がある。また、表面筋電位測定システムとロボットアーム制御システムについては、訓練を主題とする本研究の目的から高性能化を追求せず、表面筋電センサの出力信号の大きさを測って、その値に応じてロボットアームの駆動モータの指令値を生成するという単純な制御システムを構築することにしたので、滞りなくこれらのシステムを実現することができた。そこで、試作したロボットアームを一定時間内で往復運動をさせる操縦課題と往復回数による評価を設定して、複数の被験者に繰返し試行した結果、訓練の効果を見いだせることが確認できた。以上により、おおむね研究計画に沿って研究を進めることができたといえる。そしてさらに、条件を変えて訓練を行うと訓練の効果が変わる可能性があることが分かったので、得られた知見を次年度の研究に役立てることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に得られた研究成果をもとにして、今後は以下の項目に沿って研究を遂行する。 1)操縦訓練システムの改良:操縦訓練に際して、ロボットアームの動きを被検者が視認しやすいように、アームの先端の形状や背景に工夫を施す。また、訓練の条件に応じて、手関節の運動を拘束する機構や、振動や力覚を提示する刺激装置を取り付けるための構造を検討して、上腕固定台を改良する。 2)促通刺激の適用:前年度の結果から、手関節の運動に抵抗力を加えて訓練を行うと訓練の効果が変わる可能性を確認した。そこで新たに、手関節の運動に関与する筋に、運動方向に応じて振動や力覚を提示する促通刺激システムを構築する。そして、構築した促通刺激システムを用いて訓練を実施した場合と、用いずに訓練を実施した場合についてデータ収集を行い、効果的な訓練システムの開発に繋げる。 3)補助低減化手法による訓練支援:前年度に構築した操縦システムにおいて、はじめて操縦を経験する被験者は操縦課題を容易に達成できないことを確認した。そこで、経験の浅い被験者が操縦する際には、表面筋電センサの出力信号の一部の情報だけを用いて、自動制御により操縦課題の達成を補助することを考える。そして、往復回数の評価の値に応じて補助を低減していくことで、訓練時の負担を軽減しつつ上達を促すシステムを構築する。この方法を適用したときの訓練の効果について調査と分析を行う。 4)訓練の実施と評価:効果が高いと考えられる訓練プロトコルを適用した訓練の実施と評価を行い、国内外の学会で研究成果を発表する。
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Research Products
(2 results)