2018 Fiscal Year Research-status Report
The mechanism of axonal remodeling in corticospinal tract induced by task specific rehabilitative training after stroke
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17K01493
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
岡部 直彦 川崎医科大学, 医学部, 助教 (30614276)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 修 川崎医科大学, 医学部, 教授 (00253287)
氷見 直之 川崎医科大学, 医学部, 講師 (70412161)
丸山 恵美 川崎医科大学, 医学部, 助教 (30792072)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脳梗塞 / リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では脳梗塞後の課題特異的訓練を用いたリハビリテーションによる神経回路変化がどのようなメカニズムにおいて起こるのかを、解剖および分子の両面で明らかにすることを目的として実験、解析を行っている。リハビリテーションによる機能回復はリハビリテーションの実施時期により大きく異なるため、リハビリテーションの時間依存性を理解し適切な時期にリハビリテーションを実施する事がリハビリテーションのリモデリング機構を理解する上で重要であると考えられた。そこで、2018年度は脳梗塞後リハビリテーションの開始時期によりどのように変化するかを調べた。この研究において、 超急性期にリハビリテーションを行ったラットでは急性期にリハビリテーションを行ったラットより 皮質脊髄路投射の顕著な増加が見られた。しかし機能回復については超急性期のリハビリテーションによる機能回復は急性期のリハビリテーションより劣るとの結果が得られた。これらの結果はリハビリテーションによる皮質脊髄路の可塑的変化は早い時期のリハビリテーションにより促進されるものの、 超急性期のリハビリテーションは皮質脊髄路神経投射以外の要因により機能回復を阻害する事を示唆している(Neurorehabilitation & neural repair, in press)。 また、これらの実験に加えて今年度はより分子生物的な解析を推し進めるため、これまでのラットの実験系をもとにマウスによる実験系を確立した。このマウスの実験からは、超急性期から急性期のリハビリテーションはシナプス可塑性に重要な働きを示すCrebのリン酸化をむしろ低下する事が明らかになった。この現象がどのような機能的変化に関係しているかは明らかではないが、Crebのリン酸化阻害と機能回復には相関が見られたため、機能回復を阻害する要因となっている可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題はリハビリテーション、特に課題特異的訓練が脳梗塞後の皮質脊髄路のリモデリングにどのような影響を与えるかを組織学的および分子生物学的に明らかにする事を目的としている。初年度では幾つかのリハビリテーション法を比較検討し(Okabe et al., Exp Neurol, 2018)、今年度はリハビリテーション時期による検討を行った(Okabe et al.,Neurorehab & neural repair, in press)。これらの実験からリハビリテーションが皮質脊髄路にどのような条件で影響を及ぼすのかについては多くの知見が得られた。また、マウスを用いた実験から、Crebの脱リン酸化が早すぎるリハビリテーションによる機能回復阻害の一因となっている可能性が示唆された。しかし、リハビリテーションがどのような分子メカニズムを介して皮質リモデリングを促進しているかについては顕著な進展がみられておらず、研究の進歩状況は研究計画よりやや遅れていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はUCLAのDr. Carmichael labとの共同研究でRNAシーケンスの実験を実施予定であり、多くの分子生物学的知見が得られる事が期待される。また、組織学的解析についても逆行性ウイルスベクターを用いた蛍光ラベリングによる解析が進行中である。この実験ではリハビリテーションによる皮質脊髄路神経への入力経路である樹状突起スパインの変化を調べており、実験結果によっては2光子顕微鏡を用いたin vivoイメージングを実施する予定である。
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Causes of Carryover |
国際共同研究強化Bの採択を受けて、実験計画に修正を加えたため2019年度の予算を前倒し請求し実験を行ったが、前倒し請求分の一部が未使用となった。これらの金額は元々翌年度分として計画されていたものであり、当初の計画通りの用途に使用する予定である。
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